4℃の独り勝ちを引っ張る「売れすぎリング」 アパレル仕込みの鮮度&価格戦略とは?

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それだけではない。店員の接客教育にも熱心だ。東京・池袋に専用の研修施設を持ち、新卒や中途採用者の入社前研修に加え、既存の社員や店長クラスにも随時、施設内の模擬店舗でのロールプレイングや座学の研修を義務付けている。当然、他社も接客教育は行っているが、徹底の度合いに差があるようだ。

そのほか、基本的にセール販売をしないことも、顧客に安心感を与えている。業界では、商品がなかなか売れない場合、値札に書かれた元の価格よりも安い価格を表示して「セール販売」することが多い。これをやると、顧客は価格に疑心暗鬼となり、値下げするまで買わなくなってしまう。

「まっとうな経営」で好業績

販売に関連して付け加えると、昨年3月には店舗における契約社員制を廃止し、その時点で約170人の契約社員を正社員として登用した。給料が上がって人件費は増えたが、「士気が高まり、一人当たり販売額が伸びたので、むしろプラスの効果のほうが大きい」(ヨンドシー)。業界では、人件費抑制の観点から、正社員だけでなく契約社員を使うことが多い。

「商品の品質、接客とともに、価格面でもセール販売を行わないことなどで、顧客との信頼関係の構築に全力を挙げてきた」と鈴木秀典社長は語る。当たり前といえば当たり前だが、それを徹底していることが経営の好循環を生み、ヨンドシーの強さとなっているようだ。

柿沼 茂喜 東洋経済 記者

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かきぬま しげき / Shigeki Kakinuma

入社以来、一貫して記者として食品・外食、金融・証券、電力・ガス・石油、流通、精密機器、総合電機、造船・重機などの業界を担当。この間、『週刊東洋経済』『会社四季報』『金融ビジネス』の各副編集長、『株式ウイークリー』編集長、編集局次長などを経て現職。

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