九州のアイス老舗、新社長に「34歳母」の意味

「時短勤務でも結果が出せる体制に」

竹下製菓の社長に就任した竹下真由さん。長女と次女も「これが好き」などとアドバイスをくれるという=佐賀県小城市

アイスクリーム「ブラックモンブラン」で知られる竹下製菓(佐賀県小城市)で29年ぶりにトップが交代し、4歳から1歳まで3人の子育て真っ最中の竹下真由さん(34)が5代目社長に就任した。「社員にも子どもたちにも、楽しく真剣に仕事に取り組む姿を見せていきたい」と意気込む。

竹下さんは前社長の敏昭会長(78)の一人娘。工場と同じ敷地内で生まれ育ち、幼いころから後継ぎを意識していた。東京工業大大学院修士課程を修了し、都内の外資系コンサル会社を経て、結婚後の2011年に竹下製菓に入社した。2012年に長女、2013年に次女、2014年に長男を出産。今年4月、社長に就任した。

「昔の恋人味」「朝食アイス」…開発に工夫

当記事はqBiz 西日本新聞経済電子版の提供記事です

従業員は約80人。自分の役割を「お母さん社員が働き続けられる道筋を提供すること」と話す竹下さん。そのためには仕事の効率化が必要と考えた。2014年に商品開発室長に就くと、製造技術などのスキルアップ勉強会を毎月開いたほか、パソコンのエクセル講習なども取り入れて事務作業を迅速化。残業時間短縮と商品開発数増加の両立に知恵を絞った。

7月末には、商品開発室の女性社員が同社初の時短勤務で育休から復職する。「お母さん社員の仕事ぶりは手際良く、会社にもメリットがある。時短勤務でも結果を出せる体制をさらに整えたい」と意欲を示す。

業界大手との競争が激化する中、商品改良や新商品開発にも力を入れる。年間2千万本を販売するブラックモンブランは、1966年の発売以来、10回以上改良を重ねてきたが、今後も一段と磨き上げる構え。

看板商品の改良に加え、新商品開発にもいっそう力を込める(写真は同社サイトより)

新商品も「まずは手に取ってもらえないと勝負できない」と考え、ネーミングにひねりを加える。甘酸っぱいイチゴアイスは「昔の恋人味」、朝食代わりに食べてもらおうとグラノーラをまぶした商品は「これで朝食アイス」と名付けた。

母親と仕事の両立は楽ではない。3人目を産んで復職した後は、子どもの誰かが熱を出して全員そろって保育園に行けない日が続いた。副社長の夫や母親たちと手分けして看病し、子どもが寝付いてから仕事に戻る日もあった。平日は一生懸命働き、休日は子どもと思いっきり遊ぶ。そんな母親の姿を見てか、長女も、次女も「大きくなったらママと一緒にアイスを作る」と言ってくれる。

「地方の小さな企業でもちゃんと家庭と仕事が両立できるんだと、私や会社を通じて証明したい」。子どもにバトンタッチする日まで、お母さん社長の奮闘は続く。

(記者:下村ゆかり)

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