ユニクロはなぜ中国人に愛されるのか? 中国で「日本発」を売りにしてはいけない(上)

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ではなぜとりわけユニクロがZARAやH&M以上に評価されたのか。もちろんユニクロが中国人に支持されているのは、日本発、日本ブランドだからではありません。これは大きく分けて2つの理由があると思います。

ひとつは、ユニクロの出店能力と展開地域がZARAやH&Mに追いついた、ということです。

巨大な中国でブランドとなるためには、まず顧客との接点を確保しなければなりません。これまで2級・3級都市への進出においては他のグローバルブランドに置いていかれていたユニクロですが、この1~2年、急速に出店スピードが上がりました。2020年には大中国が世界最大の市場になる、と宣言し、それに沿って強烈な資金・人材面での投資を続けていることが背景にあると言えます。

売れ筋商品が4年前とは一変

もうひとつの理由は、ヒートテックなどの素材をはじめとしたテクノロジー、ブラトップなどの機能性、販売員のサービスクオリティーの高さなどが、中国人に受け入れられるようになってきた、評価されるようになってきたからです。つまりサービスの受け手である消費者側の審美眼が磨かれたことにより、ユニクロの提供価値が受け入れられ始めたことが昨年の評価につながっているのです。

販売員は100%中国人、生産地は80%以上中国なのですから、日本や日本製をアピールしているわけではなく、ユニクロの教育システムや価値観、ビジョンが受け入れられているということになります。

これはあくまで実感値なのですが、私が中国で本格的に仕事し始めた08年ごろのユニクロの店舗では、いわゆる機能性商品の売り場はいつも閑散としていて、日本で売れるものと中国で売れるものは随分と違うものだと考えさせられたものでした。その頃中国人にインタビューすると、上海ですら、同じ機能を謳った商品が市場に行ったら4分の1、5分の1で買えるのに、なぜシンプルな商品に高い金を出さなきゃいけないのか、という答えが返ってきたのを覚えています。

しかし、この秋冬のヒートテックなどの機能性商品は大変な人気です。たった4年でこれほどまでに売れるものが変わるのかと驚きますが、この間にユニクロの商品も進化したとはいえ、それ以上にわずか4年間で1.6倍になった消費者の可処分所得の上昇(都市戸籍市民の平均)と、それに伴い見る目の向上があったというのが主因だと思います。

(構成:上田真緒)

※ 続きはこちら:朝日新聞のツイッター、中国で人気の理由

金田 修 游仁堂(Yo-ren Limited)CEO

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かねだ おさむ / Osamu Kaneda

1974年神奈川県生まれ。97年、東京大学経済学部卒業。ロチェスター大学経営大学院修了。大蔵省(現財務省)を経て2001年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。07年、同社日本支社最年少パートナーに就任。コンサルタントとして、アジア各国の大手アパレル企業における全社成長戦略、中国生産体制再構築、店舗ペレーション改革に携わる。アパレル業以外にも、小売業、金融業など数多くの企業の成長戦略や経営人材育成プログラムの設計、海外提携・買収戦略を指導する。11年に游仁堂を設立。

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