中国版「LINE」は、本家「LINE」に勝てるか?

ユーザー数4億人突破、WeChatのすごみ

ビジネスにおいて、日本と中国の関係は深い。しかし、日本で伝えられる中国ビジネスの姿は、実態とズレがある。元財務官僚で、マッキンゼーで最年少パートナーとなった金田修氏。現在、中国で起業家として活躍する彼が、ネット業界、流通業界を軸にして、日本には伝わってこない中国ビジネスのリアルをつづる。
中国最大手のネット企業、テンセント創業者のポニー・マーCEO。中国版「LINE」、WeChatで世界市場を狙う(写真:ChinaFotoPress via Getty Images)

ヤフージャパン、フェイスブックを超える時価総額

中国のネット系企業で最大手のテンセントが、すさまじい勢いで成長しています。昨年末、利益額が日本のネット系企業で最大のヤフージャパンを追い越し、時価総額はフェイスブックを超えています。日本での知名度は低いですが、テンセントは実質的にソーシャルネットワーク関連で世界最大の企業ということになります。

テンセントは、1999年に「QQ」というインスタントメッセンジャーサービスの提供をスタートしました。今、同社のサービスでいちばん伸びているのは、スマートフォン向けのインスタントメッセンジャー「WeChat(ウィーチャット、微信)」。これは中国版「LINE」のようなアプリケーションです。

2011年1月にサービスを開始し、2013年5月に全世界のユーザー数が4億人を突破、2年半弱で急激に拡大しています。2011年6月にサービスを開始した「LINE」は、2013年4月末時点でユーザー数1億5000万人ですから、「WeChat」の急成長ぶりがわかるでしょう。

中国国内には、「ウェイボー(微博)」という中国版ツイッターがあり、これが中国におけるソーシャルネットワークサービスで最も勢力があると考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、過去12カ月で2億人以上もユーザーを増やした「WeChat」が、友人間のコミュニケーションツールとして定着、あっという間に「ウェイボー」の時代は終わってしまいました。「ウェイボー」は個人同士がやり取りするコミュニケーションツールというよりも、自分がフォローしている有名人やメディアの情報を得るためのソースとして使われ始め、RSSリーダーのようなツールになりつつあります。

先日、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーの合併会社。60近い高級ブランドを傘下に持つ)のパーティが上海最大の会場を借り切って開催されました。その席には、グローバル企業のCEOが参加し、ファンビンビンという中国で最も有名な女優がモエ・ヘネシーのアジア大使に就任することを盛大に祝いました。

オンラインのマーケティングエージェンシーである私たちも参加させていただいたのですが、そのパーティにいたプレスや招待された代理店の女性たちは、会場の写真を撮って友人知人に送っていました。そのツールがほぼ100%「WeChat」でした。今、中国における最先端のコミュニケーションツールは「WeChat」だと、あらためて感じさせられました。

今回はこの「WeChat」を提供しているテンセントについて、お話したいと思います。

次ページ成長率は、年間30~50%
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