コロンビア大で出会う、最先端の経営 「第2の創業」を成功させるものは何か?

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たった1人の日本人という”重責”

「『550人中、たった1人の日本人学生として、僕には何が出来るだろう』。それを自問自答する毎日でした」

川本さんは、2011年9月に入学して以来、日本代表であることに重荷を感じていた。なぜなら、550人の同級生にとって、川本さんは、「日本」の象徴なのだ。

コロンビアビジネススクール
アメリカ・ニューヨーク、コロンビア大学の経営大学院。1916年創立。 通常の2年プログラムに加え、16カ月でMBAが取得できる1月入学制度も並立。コロンビア大学の他学部(法学・ジャーナリズムなど)の科目も選択できる柔軟なカリキュラムも強み。ニューヨークという場所柄、有名企業のCEO、COOが来校し、講演する授業が多い。ファイナンス分野では特に定評があり、ブルース・グリンウォルド教授は、とりわけ有名。世界的な投資家、ウォーレン・バフェット氏の出身校でもある。卒業生のおよそ5割が金融業界に就職する。
日本語ウェブサイトhttp://columbiamba.jimdo.com

「どうして、日本人は1人しかいないの?」
 「日本人はMBAに興味がないの?」

そう聞かれ、反論したり、理由を説明したりするのが苦しかったという。

「同じアジアでも、中国人や韓国人は20人も、30人もいるわけです。大きなグループを形成していて、存在感は増すばかり。僕にできることは、『日本人留学生も捨てたもんじゃないな』と思ってもらえるような発言をしたり、貢献をしたりすることだけでした」

川本さんは、コロンビアの学園祭で、日本をアピールするために、サムライ劇でもやろうかと本気で考えたこともあったという。

「でも、思いとどまりました。イロモノで本当の日本の姿や、日本人の姿を伝えられるか、と思ったのです。それよりは、僕を通じて、日本人の気遣いとか、心の優しさとか、そういったものを感じてもらえるように努力したんです」

そんな川本さんを心から支えてくれたのが、同級生のマルコス・シーランさん(29)だ。経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー出身のアイルランド系スペイン人。日本に興味を持っていて、川本さんがリーダーを務めるJapan Business Association(日本ビジネス研究会)のメンバーとなったのがきっかけで、親しくなった。

通常、Japan Business Associationは、日本人留学生を中心に運営されるが、日本人が実質、川本さん1人となり、存亡の危機を迎えていた。そんなとき、マルコスさんやその友人、9名が運営幹部役を買って出てくれたのだ。

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