シェールガス革命で世界は激変する(上) 素材、化学など日本企業にも恩恵
シェールガス革命の大旋風が世界に吹き荒れ始めた。エネルギー問題といえば、原発の是否やメガソーラーの導入などに関心が深い日本国内の事情からいえば、ピンとこない人も多いかもしれない。しかしながら、これは100年、200年に1回あるかないかというほどのインパクトを持つ一大産業革命なのだ。
圧倒的に安いシェールガスのコスト
米国のオバマ大統領は、2011年秋ごろまでは、ひたすら自ら提唱する「グリーンニューディール」の政策実行に腐心していた。しかしながら、最近の彼はグリーンニューディールを一言も口にしない。
それに代わって、「米国発のシェールガス革命は世界を席巻する。今後のエネルギーの覇権については、米国は勝ったも同然だ。とんでもないことになる」とコメントすることが多い。
今までは、石油があと20~30年、石炭が100年もたないという事情があるからこそ、原子力発電にいくか、太陽光、風力、地熱などの再生可能新エネルギーにいくか、という選択しかなかったのだ。ところが、である。シェールガス、すなわち砂や泥まみれの地中から取り出す天然ガスは、この状況を一変させてしまった。
なにしろ、1キロワットあたりのコストが、石油10円、風力20円、太陽光35円というのに対し、シェールガスはたったの6円なのだ。しかも埋蔵量が少なくとも150年分、実際には300年以上もあるともいわれている。なおかつ、CO2排出量は石炭に対し40%、石油に対し15%も少ないのだ。
米国はこのシェールガスの取り出しについて独占的な知財権で固めており、ピンポイントで見つけ出し、堀り上げ、精製まで持ち込むすべての工法を確立している。世界のシェールガスの約4割は米国にあるといわれている。中国をはじめ、世界各地にはシェールガスはあるものの、前記の事情で、米国が一気に最先行することになる。
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