シェールガス革命がもたらした米国の独走

日本向けLNG価格は下がるか

 「政冷経冷」でも、LNGは間接的に「日中韓共闘」も

最近のガス・LNG(液化天然ガス)関連の国際会議で、必ず議題に上るものがある。

それはアジア向けLNG価格がJCC(日本の通関統計原油価格)にリンクすることに合理性があるのか、との議論である。これらの国際会議においては世界最大のLNG消費国である日本の発表者をメディアが追い、これまで以上にその言動に注目が集まっている。

「一物一価」であるはずの天然ガスが、地域によって価格の隔たりが生じるのは、輸送手段が限定された天然ガスの宿命である。だが、北米でのシェールガスの商業生産開始が「ゲームチェンジャー」となった。この「シェール革命」の結果、北米のみが一人歩きの低価格マーケットを作り出していることが、それ以外のマーケットでの「足元の不機嫌さ」の原因となっている。

昨年の「3.11」(東日本大震災)後の原発停止によって、代替燃料であるLNGへの需要が増加し、LNGのスポット価格が高止まりしたことが、これに輪をかけていることは言うまでもない。

今年9月、経済産業省の呼びかけもあり、LNGの輸入増に起因した貿易赤字を懸念した政府が、わずかな準備期間のうちに世界のLNG主要プレーヤーを一堂に集め、初の「LNG産消会議」を東京で実施したことは記憶に新しい。

枝野幸男経済産業大臣は会議の冒頭で、ガスを取り巻くパラダイム変化の中、「石油価格リンクのLNGとの決別」を宣言した。中国もこれに追随し、11月初旬には上海での国際会議を開催している。大きなうねりとしての、極東アジアからの「情報発信」が始まろうとしているのだ。

天然ガスのマーケットについて、初めての読者の方々も多いと思うので、簡単に仕組みを説明しよう。一言でいえば、アナリストが一般的に分析する世界の天然ガスのマーケットは、EUを中心としたヨーロッパ、日本・韓国を中心としたアジア、北米の3地域に大別されている。

ガスの価格は、それぞれの地域での競合燃料、供給実態によって、歴史的に形成されている。現状、ヨーロッパでは、石油価格に連動した長期契約をベースにしたパイプラインガス価格と、英国のNBP(National Balancing Point)を代表とする「ハブ価格」が共存している。

一方、北米ではHH(Henry Hub)を代表としたパイプラインガスの多数のハブ価格に、アジアではJCC(日本の通関統計原油価格、既出)連動の長期契約をベースとしたLNG価格によって、マーケットが形成されている。 

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