九州新幹線が大地震から早期に復旧した理由 致命傷を負わない「最新の耐震基準」の仕組み

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熊本地震の被害を受けたものの、4月中に全線の運転を再開した九州新幹線(写真:喜多 / PIXTA)

4月14日から発生した熊本地震で一時的に全線運休という状況に追い込まれた九州新幹線だが、直後には難航が予想された復旧作業は順調に進んだ。

まず4月20日には鹿児島県内の新水俣~鹿児島中央間が折り返し運転という形で復旧。続いて23日には、これも九州区間の折り返し運転という形だったが、博多~熊本間が復旧し、さらに4月27日には九州新幹線(鹿児島ルート)の全線で運転を開始し、翌28日からは臨時ダイヤで山陽新幹線への直通も再開している。

当初の直通運転は一部の『みずほ』に限定されていたが、さらに5月に入ると『みずほ』のほぼ全便が鹿児島中央に直通するようになり、また当面は「熊本折り返し」であった『さくら』の鹿児島中央への直通も始まっている。この間は、熊本を中心に徐行区間が設定されており、所要時間も30分程度の遅れが出ていた。

7月には徐行運転もほぼ解除

だが、この後、作業が順調に進めば脱線事故で損傷した「熊本~熊本総合車両所」間の時速70キロ制限を除けば、7月4日には全線で速度制限も解除でき、博多~鹿児島中央間を平常ダイヤ+数分の遅れで運行できる見通しだという。

震度7という直下型地震の直撃を受け、6両編成の800系電車の全車両が脱線するという被害を受けながら、このように比較的短期間で復旧を進めることができたのは、どうしてなのか? JR九州の兵藤公顕新幹線部長に直接話を伺った。

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