小田急「複々線化」後に恐れる意外な路線は? ライバルも「座席指定」「乗り入れ」などで対抗
電車内は超満員、しかもノロノロ運転。小田急線では長年にわたって朝ラッシュ時にこんな状況が続いてきた。原因は単純明快。現在の線路容量では、走行できる列車本数に限界があり、利用者をさばききれないのだ。
線路容量が足りないなら線路を増やして複々線にすればいい。理屈はそのとおりだが、簡単にはいかない。用地買収は一筋縄ではいかないし、何より莫大な建設費用がかかる。
多くの鉄道会社がドアの開閉時間を見直すといった小手先の対応に終始し抜本的な対策を見いだせない中、小田急は複々線化に踏み出していた。1989年の工事着手以来、およそ30年間にわたって続けられてきた工事が2017年度にようやく完了を迎えようとしている。
1時間27本から36本へ
複々線化事業の内容は以下のとおりだ。事業区間は東北沢―和泉多摩川間の10.4キロ。これとは別に和泉多摩川―向ケ丘遊園間は上り線が2線あるため、朝ラッシュの解消を目的とした複々線化という意味では代々木上原―向ケ丘遊園間が複々線化されることになる。
梅ケ丘―和泉多摩川間の工事はすでに完了しており、残るは東北沢―世田谷代田間1.6キロメートルだけだ。「2018年3月のダイヤ改正は複々線化を踏まえたものとなる」と小田急電鉄の担当者はスケジュールどおりの完成に自信を示す。
複々線化により利便性は飛躍的に高まる。現在は朝ラッシュのピーク時間帯には1時間に27本、つまりほぼ2分間隔で代々木上原を発着する。もっと本数を増やしたくても現行の線路ではこれが精一杯だ。
小田急は「あくまで目安」と前置きしつつ、「現在1時間に27本のピーク時間帯の本数を複々線化後には36本に増やしたい」としている。本数増によるメリットは、混雑緩和、所要時間短縮、そして千代田線直通列車増発による都心中心部へのアクセス改善の3つだ。
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