いま「買い」のマンションは駅徒歩何分まで? 販売戸数「半減」でも値崩れしない条件

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東京都内の不動産投資利回りは、案件にもよるが、マンションで4~5%程度。現金を銀行に預けるよりも「はるかにおトク」である。購入時にかかる不動産取得税や登録免許税、運用時にかかる固定資産税などの税金はあるものの、借入金の金利や建物の減価償却を経費として計上できることから、節税対策としても魅力がある。

自宅購入者にとっても「低金利」は魅力的だ。住宅ローンは、自らの給与債権から返済するローン(運用をしないため)であるが、金利の低下でローン支払い額の負担が軽減される。最近は新築マンションを購入する際には税制上でも数多くの特典があるため、「今が買い時」「今買わなければ損する」といった気持ちにさせられるのだ。

しかし、実際には数多くの「知らないと怖い不都合な事実」が横たわっている。以下では「マンション」にメニューを絞って紹介したい。

知らないと怖い、マンション購入の不都合な事実

不都合な事実1:マンション価格高騰は、実需ではなく建物建設費の高騰

近ごろ、マンション価格がずいぶん上昇してきたというニュースを耳にする機会が増えてきた。実際に首都圏(1都3県)の新築マンションの販売価格は、3年前に比べて20%以上、上昇している。

価格が上昇しているという事実に直面すると、あたかもマンションの購入者が増えて(つまり需要が盛り上がって)、価格が高騰しているように考えがちだが、実際は様相が異なる。

マンションは販売価格のうちの7割から8割が建物代である。この建物建設費が、3年前と比べて30%から50%も上昇しているのをご存じだろうか。さらに都心好立地のマンションは用地代も15%程度上昇しているために、マンションデベロッパーからみて、大幅な原価アップの状態になっているのである。

したがって、マンションデベロッパーも販売価格を、当然2割以上「値上げ」をしないと、採算が取れない状況にあるのだ。

不都合な事実2:マンションの販売戸数は、10年前と比べて半減している

首都圏のマンションの販売戸数は、2015年で約4万戸。10年前と比べて約半分に減少しているのが実態だ。

供給を絞って、好立地の物件だけを「高値」で売るというのが現在のマンションマーケットである。物件選定にあたっては、全体の需要が低下していることを念頭に、なるべく良い立地、つまり土地で選ぶことが肝要だ。

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