鳩山政権、菅政権の失敗は必然だった
――現在、日本は多党制への移行の渦中にあると言われます。12月16日の総選挙も、そうした文脈の中でとらえるべきでしょうか。
今回の総選挙でもその傾向は続く。今回の総選挙が政治構造の転換を促進し、日本の政治を新たな均衡へと向かわせるのかどうかは、まだわからないが、総選挙は、左派勢力に最後のとどめを刺すことになりそうだ。
過去数十年間にわたり、日本の政治は、一方に右派の要素を抱え、他方に左派の名残をとどめながらも、中道右派に向かって動いてきた。
旧社会党を中心とする左派の崩壊は、「1955年体制」の終焉がもたらした最も意義深い結果だった。旧社会党が掲げていた、再分配を重視する政治理念の一部は、左派の反米感情とともに、民主党が引き継いだ。しかしこれらはいずれも支持を失った。鳩山由紀夫元首相と菅直人前首相の政権はともに失敗に終わったが、それはほぼ必然の成り行きだった。
民主党は2009年9月に政権の座に就いたが、この政権の経済政策は、連立政権を構成する3党が掲げるマニフェストを基盤としていた。民主党は、小泉純一郎元首相のいわゆる“新保守主義的”な経済政策に終止符を打ち、分配重視型の経済政策を打ち出す、と約束した。具体的には、高校授業料の無償化や高速料金の無料化などがこれに当たる。
自民党が結党以来、長く政権を維持できたのは、一部では、日本が経済成長を持続させ、その成果である所得を公平に分配することができたからだ。日本は、自民党政権下のほぼ全期間をとおして、OECD諸国の中で最高水準の経済成長率を誇ってきたし、逆に貧富の格差は最低レベルにとどまった。
このモデルは90~91年に終焉を迎えた。その後の10年間、自民党は、旧田中派の影響の下で、景気刺激策を打ち出すことによってこのモデルを復活させようと努めたが、このやり方はうまくいかなかった。
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