21世紀に入って小泉政権が誕生し、経済成長を優先する道を選択した。経済はそれまでの弱々しい成長率から上向きに転じたが、その一方で所得の格差が拡大した。パートタイマーや短期の契約社員の数が、全労働者数の約3分の1にまで膨らんだ。この比率は、OECD諸国の中で最も高い。
民主党は、日本は分配重視型の経済政策に回帰すべきだ、と訴えて政権に就いた。しかし民主党には経済を成長させるための戦略がなく、経済界ではフラストレーションが高まった。民主党の政策は行き詰まり、支持を失っていった。
次に何が起こるのか、はっきりとはわからない。自民党が政権に復帰しそうだが、それは必ずしも、小泉政権が打ち出した成長重視への回帰を意味するものではない。おそらくそういう道はとらないだろうし、少なくとも小泉時代と同様の成長重視策には戻らないだろう。
民主党の「成長よりも分配を重視しよう」とする試みが失敗に終わったのは事実だ。民主党の経済政策と、左派の広範な反米政策は支持を失った。それは一部には、政策そのものが失敗だったせいでもあるが、中国が台頭し、その結果として行動を活発化させていることも原因として挙げられる。
日本の政治は、中道右派へ回帰する
経済の高度成長と計画的な富の分配が不可能になった今日、日本の政治は再構築を迫られており、民主党の衰退もその流れの一環としてとらえることができる。左派の統合・縮小が進むのは必然だった。ある意味では、民主党政権は左派の最後のあがきだった。
今回の総選挙がどんな結果に終わろうとも、日本の政治は中道右派へ回帰するだろう。岡田克也氏を別にすると、今後政治の舵を左向きに切り直そうとする総理大臣が誕生するとは、まったく考えられない。しかもその岡田氏でさえ、09年当時とは変わってきている。
仮に安倍晋三氏がつまずいたとしても、次いで首相になる可能性のある人たち、つまり石破茂、石原伸晃、前原誠司、玄葉光一郎などの各氏は、みな安倍・岸路線につながる人たちだ。
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