新幹線の製造、競合5社のうちトップはどこか JR各社ごとにシェア激変、新興勢力も台頭

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日本車輌製造の製造現場。JR東海の新幹線ではライバルを圧倒する(撮影:今 祥雄)

現在、日本国内で新幹線を製造する会社は5社ある。上場している川崎重工業、日立製作所(日立)、日本車輌製造、近畿車輛、そして非上場の総合車両製作所の5社だ。

1964年に営業運転を開始した東海道新幹線「0系」。その1次、2次車両の360両は、川崎重工業、日立、日本車輌製造、近畿車輛、汽車会社(後に川崎重工業に吸収合併)という当時の大手車両メーカーが均等に製造を担った。それから50年あまりが経ち、鉄道車両メーカーを取り巻く状況は大きく変わった。

各社の鉄道事業の売上高を見ると日立と川崎重工業が頭一つ抜き出る。両社とも海外展開を積極的に行なうことで売り上げを伸ばしてきたが、日立は2015年イタリアの鉄道車両メーカー・アンサルドブレダを買収して、規模の面で川崎重工業を大きく引き離した。5社の格差は広がるいっぽうだ。

新幹線の製造では日本車輌製造がトップ

ところが新幹線の製造数を見ると、様相は異なる。業界3位の日本車輌製造がトップに躍り出るのだ。

2000~2014年の15年間に製造された新幹線車両の本数は4543両。1位の日本車輌製造は1587両。次いで日立1419両、川崎重工業1227両、近畿車輛194両、総合車両製作所116両と続く。各年度を見ると日本車輌製造は15年間でシェア1位を8回獲得している。

そもそも鉄道以外の事業が充実している川崎重工業と日立は別格として、鉄道が事業の中心となっているメーカーの多くは合併や解散に追い込まれた。そして日本車輌製造、近畿車輛、東急車輛製造(後の総合車両製作所)の鉄道専業3社はJRとの結び付きを強めることで、生き残る道を選んだ。メーカー側にとっては、JRから出資を受けることでJRから安定的に仕事をもらえるというメリットがある。JRにとっても系列メーカーに生産させることで技術開発へのフィードバックやコスト削減といったメリットがあるのだろう。

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