前回のコラムで、様々な定量指標を比較した結果、世界の中で東南アジアが、日本の個人投資家にとって最も魅力的であることを解説しました。今回は、東南アジアの国々の中で、具体的にどの国への投資を検討していくべきかについて解説します。
なぜ「6カ国」に注目するのか
下表をご覧下さい。一般的に、東南アジアはこの表にある11カ国を指します。この11カ国の内、東ティモールを除いた10カ国はASEAN (東南アジア諸国連合、Association of South-East Nations)という政治・経済両面にわたった地域協力機構を構成しています。
この東南アジアに含まれる10カ国ないし11カ国ですが、本連載ではインドネシア・タイ・マレーシア・シンガポール・フィリピン・ベトナムの6カ国を中心に解説していきます。なぜ、この6カ国を優先して検討すべきであるのか、表の数値を見て頂ければ一目瞭然でしょう。
表には、前回に用いた指標に加えて、人口と経済の規模もまとめています。前述した6カ国とそれ以外の国では、規模の面でも経済の発展度合いにおいても大きな隔たりがあることがわかります。
この主要6カ国以外の国々は、GDPが日本の100分の1以下と非常に小さな規模の経済です。経済統計もきちんと整備されておらず、定量指標が入手できない項目もあり、きちんと評価すること自体が難しくなっています。
事業環境に関する指標も非常に悪く、そもそもビジネスには不向きであることも分かります。天然資源を日本に輸出しているブルネイ以外の、ミャンマー・カンボジア・ラオス・東ティモールは日本との関わりもあまりありません。
まずは、経済規模が大きく、法制度もしっかり整備されていて、既に日本企業や日本人が数多く展開している6カ国から投資を検討して、それ以外の国もある程度発展してきた段階で対象としていけばよいと考えています。
ASEAN10カ国の統合は、2015年にかけて一段と進展、深化していきます。きちんと6カ国に投資をしておけば、それ以外の国々が予想外の急成長をとげたとしても、6カ国への投資を通じて成長の恩恵を享受できるでしょう。
東南アジアに関心があり、投資したいと考えている方は、まず主要6カ国について詳しくなるようにしてください。