「硬直的な政策がもんじゅをダメにした」

鈴木達治郎・長崎大学教授に聞く

「もんじゅ」はどうなるのか

高速増殖炉「もんじゅ」が安全管理問題をきっかけに存亡の窮地に立たされている。鈴木達治郎・長崎大学教授(長崎大学核兵器廃絶研究センター長)は、高速増殖炉としての実用化プロジェクトと研究開発の二兎を追う宿命がもんじゅを迷走させたと分析する。もんじゅに対する原子力規制委員会の勧告を、核燃料サイクル政策全体を見直す好機ととらえる。

――高速増殖炉「もんじゅ」が原子力規制委員会の勧告をきっかけに存続の危機に立たされています。この問題をどうとらえていますか。

勧告の内容で重要なのは、発電用原子炉としての安全性に着目していることだ。研究開発目的だけの施設であればいつでも作業を止められるし、稼働率についてさほど考えなくてもいい。これに対してもんじゅは規模が大きくないとはいえ、れっきとした発電用原子炉だ。研究炉と比べて部品の点数も多く、求められる信頼性も高くなければならない。原子力規制委員会はその点に着目し、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構(JAEA)の能力を問題視した。

なぜ安全性が問われたのか

そもそも、もんじゅには二面性がある。発電用原子炉としての側面と研究開発施設としての側面だ。発電用原子炉としては、将来の事業化のために必要な技術を実証することが目的であるため、高出力・高稼働を続けなければならない。ここでは次の段階である実証炉にその成果を引き渡すことがミッション。研究開発といいつつも半分は事業目的だ。

当初の運営主体が動力炉・核燃料開発事業団(動燃)だったように、もんじゅはあくまでも実用化のための技術開発プロジェクトだった。そのため、さまざまな技術の中からもっともふさわしい技術を選んでいる時間もないまま、時期を定めてプロジェクトを進めることが優先された。

その後、臨界を達成して出力運転に移行して間もない1995年12月にナトリウム漏えいによる火災事故が起き、それを機に研究開発組織として建て直すべきだという提案が出た。しかしその後も、実用化プロジェクトとしての位置づけは変わらなかった。その一方で実用化時期は遠のいていき、組織のモチベーションが低下していったのではなかろうか。

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