就活生が激怒する「サイレントお祈り」の実態 大企業の4割が書類選考不合格を通知しない

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「選考結果を合格者のみに通知するのをやめてほしい。新入社員には報告・連絡・相談を徹底して叩き込んでいるくせに矛盾していると思う」(私大、文系)

「連絡する日時のアバウトな指定や、またその指定した日時に連絡をしなかったり、そのまま連絡を途絶えさせたりするのは社会人としてどうなのかと思った」(私大、理系)

「不採用の連絡を早めにしてほしい。不採用の連絡をしないのはもってのほか。通過した人への連絡と同時期にお祈りメールもしてもらえれば、学生は次への切り替えがすぐにできる」(私大、文系)

いかがだろうか。よく企業の採用担当者は「最近の学生は社会常識を知らず、マナーがなっていない」と言うが、その言葉はそのまま企業側に返ってくるというものだ。

内定辞退に備え、補欠を確保しておきたい

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そもそも、なぜ企業は学生に評判の悪い「サイレントお祈り」などといったことをするのだろうか。

企業が面倒くさがってやらないケースもないわけではないだろうが、大きな理由はこうである。企業側は最初に合格通知を出す層に辞退者が多い場合のために、ボーダーライン上にいる層を第2次の合格通知者候補として残しておかなければならない。内定辞退者が予想よりかなり多い可能性を考えると、第3次、第4次に通知をする層も残しておかなければならない。

最初のほうに出した内定者がすぐに辞退を決めれば次の層に拡大してすぐ通知できるが、内定者の多くが迷って時間がかかるかもしれないので、次の層に通知をするタイミングが事前にはっきりしない。そのために、時期を曖昧にしつつ連絡がなければ不合格といった結果通知の方法を取るのである。

それであれば最初からそう言えばいいようなものだが、「あなたはボーダーライン(補欠)なので、第1次合格者の結果次第で連絡します」と正直に言ってしまうと、さすがにその学生が気分を害して逃げてしまう可能性が高まることも確かだ。だからと言って企業側の行為は正当化できるとは思わないが、百歩譲って考えれば、企業側にもこうした止むに止まれぬ事情もあるのである。

では、合否の通知がなかなか来ない場合に学生はどうすればいいだろうか。そういう場合は、遠慮せずにメール、電話などで選考状況を聞くことだ。企業によって対応は違うだろうが、状況を教えてくれるところもあるだろうし、特にボーダーラインにいるのであればもう少し待ってほしいという返信が来る確率が高くなる。一方でそうした連絡をしても何の返信もなければ、合格の確率は低いと考えるか、そうした企業にはこちらから縁を切るくらいの気持ちで、違う企業に意識を切り替えたほうが良いだろう。

社会という荒波にこれから漕ぎ出そうという時に、決して気持ちの良い試練ではないだろうが、うまく乗り切ってほしい。

 

寺澤 康介 ProFuture代表 HR総研所長

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てらざわ こうすけ / Kosuke Terazawa

1986年慶應義塾大学卒業。就職情報会社役員等を経て、2007年現会社設立。日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、経営者向けサイト「経営プロ」を運営。約25年間、採用・人事関連のコンサルティングを行う。2015年より中央大学大学院戦略経営研究科 客員教授。週刊東洋経済、労政時報、企業と人材、NHK、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、アエラ、文春等に採用・人事関連の執筆、出演、取材記事掲載など多数

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