新卒採用スケジュール、6月解禁にも疑問符 経団連は2年連続で変更する迷走ぶり

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大手企業もルールを守らず、中小企業が苦労する実態は変わらない(撮影:尾形文繁)

朝令暮改に振り回される学生たち。11月9日、日本経済団体連合会(経団連)は、企業による新規大学卒業生の採用選考の開始時期を、現在の大学4年生の8月から6月に前倒しする方針を表明した。2017年3月卒業予定で、16年に就職活動する学生に適用される見込みだ。

昨年までは大学4年生の4月を採用活動の解禁時期としていたが、「3年生の間は勉強に専念させる」ために、今年から8月に遅らせた。しかし、水面下で企業の採用活動が早めに開始され、かえって就活期間が長期化。また、大手企業の採用決定が後ろの時期にずれたことで、中小企業の内定を辞退する学生が続出した。そのため2年連続で変更することになった。

今回のスケジュール変更は学生にどんな影響を与えるだろうか。

6月よりも4月が望ましいという声

スケジュールの前倒しを歓迎するのは、体育会系のクラブに所属する学生。8月選考開始だと夏合宿に参加できないからだ。たとえば、硬式テニス部の場合、8月下旬から9月中旬にかけて、1年の中で最も重要なリーグ戦があるため、夏合宿での強化練習は必須。8月上旬に内定が出なければ、リーグ戦と就活が重なってしまう。

6月選考となると、シーズン開始の4〜5月に、説明会への参加などの準備が必要となる。ある大学のテニス部OBは、「1〜3月のオフシーズン中に準備ができる」ことを理由に、4月開始がいっそう望ましいとする。

理科系学生も前倒しを歓迎している。理科系の学部4年生と修士2年生は研究に忙しいため、早く就職先を決めて、残りの期間は研究に専念したいのが実情だからだ。

理科系学生にとっても、6月より4月のほうが望ましい。7月に卒業論文の中間発表や学会を控えており、また6月は研究で忙しい。文科系の場合、3年生までで卒業に必要な単位(卒論除く)を取得することができるが、理科系は4年生の前期にも試験がある。6月では就活と試験の準備が重なってしまう。

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