メグラジュグループ築いた祖父の教え
加藤エルテス 聡志(以下、加藤):初めにビノイさんの会社やお立場について、簡単に教えてください。
ビノイ・メグラジュ(以下、メグラジュ):私たちの会社メグラジュグループは、お客様の資産運用を行う金融サービスグループであり、アフリカ・インド・中東・イギリス・日本などの世界10カ国にオフィスを構える国際グループです。副会長である私は、日本企業に東アフリカをはじめとした新興市場への参入についてアドバイスをする仕事をしています。
私の祖父がまだ17才だった1922年にケニアで興した会社です。祖父の代から商売は大きな成功を収めていましたが、祖父が49際の時、それまでのビジネスのあり方を変えて慈善事業に専念したいと事業売却を決めました。教育と福祉においてすべきことは多く、また必要性を最も感じる二つの地域がインドとアフリカであると祖父は考え、自社事業を売却したおカネを使って学校や医療機関・大学を建てました。ケニアや東アフリカに多くある医療系の教育施設もそのひとつです。
加藤:資金を作るために、自社のほとんどを売ってしまったと?
メグラジュ:ええ。何点かの投資事業は残しましたが、ほとんどを売ってしまいました。その後、祖父は59歳で他界。その頃ケニアからイギリスのロンドンへ移住しており、私の父と叔父が二代目として、新しくファイナンシャル・サービスを立ち上げます。サービスの目新しさと、ロンドンという土地柄から、経営は難航しました。
加藤:苦労がありそうですね。
メグラジュ:それはもう。思うに、私は祖父の影響がとにかく強い。祖父の遺したものは二つあると思います。ひとつは現在まで続く会社の基礎。そしてもうひとつが社会との繋がりに関する考え方です。私の家族に流れる、社会問題を他人事と思わない意識は、祖父の教えから生まれました。家族全員が、何かをするにあたって、祖父ならどうしたかを今でもいちばんに考えています。
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