優秀な子に育てたいなら価値観を変えさせよ 達人に学ぶ、こだわりぬいた意思決定手法

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第4回は石山洸氏と議論を交わす
自分のことを100%理解している人間なんていない。限られた環境や情報の中でさまざまなことを経験し、異質な他者と触れることで人は成長していく。「井の中の蛙大海を知らず」や「灯台下暗し」などのことわざにもあるように、自分の知らない世界や気づかずに見落としている情報が必ずある。
社会に出た時により活躍していくためにどのように観察眼を磨き、自身の置かれている状況を把握すべきか、また子供にそうなってもらうにはどういう点に気をつけるべきなのか。本連載は算数学習支援サービスの「RISU」を立ち上げた筆者が、そんなテーマに迫っていく。第4回はリクルートホールディングス Recruit Institute of Technology(RIT)推進室 室長の石山洸(いしやま こう)氏と議論を交わした。

論文を書いているだけでは世の中は変わらない

加藤エルテス 聡志(以下、加藤):石山さんはリクルートで人工知能の研究と活用を推進されているのですよね。

石山洸(以下、石山):はい。リクルートAI研究所の責任者を少し前までやっておりましたが、昨年11月にグーグル・リサーチ出身で人工知能とデータマネジメントのAlon Halevyさんを採用してからは彼をサポートする立場にいます。このAI研究所が新しく作ったRIT(Recruit Institute of Technology)推進室の責任者をしながら、Alon Halevyさんの研究内容をリクルートのビジネスに接続していく役割と、2015年11月に設立した米国拠点の企画と統括を担当する役割を果たしています。

加藤:アカデミアとビジネスの結節点となる役割ですね。石山さんがこうした立場になられた経緯を教えていただけますか。

石山:大学生の時は、修士の時に2年で論文18本を書くぐらい、アカデミックな人間でした。そのまま学問研究の道に残る予定だったのですが、論文18本を書いて、「論文を書いているだけでは世の中は変わらない」と気づきました。社会科学に人工知能的なものを導入する研究をしていたのですが、論文として発表するよりも、社会に接点のある会社に人工知能をそのまま導入していったほうが早くてインパクトが大きいのではないかと思って。インパクトを出すなら、社会接点が大きい会社がいいと思ってリクルートを選んだのがきっかけです。

入社してからはホットペッパーの営業から初めて、リクルートと外部の投資家でJV(ジョイント・ベンチャー)を作ってバイアウトしたり、本当に多様なビジネス経験をさせてもらいました。

アカデミックにどっぷり使っていたので、この時の経験はとても新鮮でした。予定ではもっと早く研究所が出来るはずだったのですよ。その意味では苦節の10年でしたが、この時の経験があったからこそ今があると思いますね。

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