ソフトバンクはグーグルの軍門に下ったのか ペッパーがアンドロイドに対応、その真意は

拡大
縮小
ロボットの普及は孫社長の夢。グーグルとどう向き合っていくのだろうか(撮影:梅谷秀司)

ソフトバンクグループ(以下ソフトバンク)は米検索大手グーグルの軍門に下ったのか。

人型ロボット「Pepper(ペッパー)」が、米グーグルのOS(基本ソフト)アンドロイドで開発が可能になる。ソフトバンクのロボット開発子会社・ソフトバンクロボティクス(以下ロボティクス)は、開発者向けに5月19日からアンドロイドによる開発キットの配布を開始した。7月には開発者向けのアンドロイド対応ペッパーを先行発売し、来年3月末までに一般販売する予定だ。

これまで、ペッパー向けのアプリ開発は「NAOqi(ナオッキー)」というOSを用い、開発用のソフトウェア「Choregraphe(コレグラフ)」をダウンロードする必要があった。アンドロイドでアプリを開発する開発者はコレグラフの100倍と言われる。数千人だった開発者が、一気に数十万人規模に拡大するわけだ。これまでの開発者も、コレグラフからアンドロイドにプラグインして開発できる。

「ヒロシがいい、ちょうど日本に来る」

事の発端は昨年10月上旬だった。ロボティクスの冨澤社長が、孫正義社長の後継候補、ニケシュ・アローラ副社長に「(アンドロイドについて)グーグルの誰と話をしたらいい?」と聞くと、「ヒロシがいい。ちょうど日本に来る」と助言した。

「ヒロシ」とは、米グーグルのヒロシ・ロックハイマー氏のこと。アンドロイド担当の上級副社長で、グーグルが開発したスマホ「Nexus(ネクサス)」の最新機種「5X」「6P」発表のために来日予定だった。

ペッパーはさまざまな場面で働いている。写真は期間限定でオープンしたペッパーだらけのケータイショップ(撮影:尾形文繁)

日本人の母親を持つヒロシ氏は東京・港区の麻布十番育ちである。「10月5日にペッパーを見せると、『これはいいね。すごく未来を感じる、成長の余地を感じる』と言われた」(冨澤社長)。さっそく両社でチームを組み、ペッパーでアンドロイドを使う検討を進めた。その後は「何の障害もなく」(冨澤社長)今回の発表にこぎつけたという。

しかし、グーグルは近年、精力的にロボットベンチャーを買収(日本企業も含む)し、2足、4足歩行ロボットから自動運転など、広範囲で開発を進めてきた。ペッパーはこうした機能重視のロボットと異なるが、将来のプラットフォームを形作る上で、グーグルは競争相手でもある。冨澤社長も以前、グーグルについて「どう考えても、いずれは競合になる」と語っていた。

庇を貸して母屋を取られるおそれはないのか。冨澤社長を直撃した。(次ページからインタビューを掲載)

次ページいつから考えていたのか?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT