2代目ペッパー、家庭向けは"ほぼ別人"だった 衝撃の披露から試行錯誤の一年

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家庭用の販売に向けた開発は困難の連続だった(撮影:梅谷秀司)

「ロボットが感情を持つ。これこそが最も大切なことだと思っている」「私自身が発明し、すでに100以上の特許を申請した」「深夜2時にアイデアを思い付き、飛び起きて電話でエンジニアを次々と起こしまくった」――。この日の孫正義社長はとにかく饒舌だった。

 ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」一般発売に向け、6月18日に開いた説明会で、孫社長は「感情エンジンを備え、自らが感情を持つことができる」と、ペッパーの進化を力説。質疑応答の予定時間を大幅に過ぎても熱心に語り続けた。

昨年6月のお披露目から1年、今やペッパーの開発は、事業を統括するソフトバンクロボティクス以外に、第三者のデベロッパー(開発を進める業者)も加わり、熱を帯びている。各所でイベントが開催され、思いも寄らぬアレンジが加わったペッパーが出展されるなど、「おカネにかかわらず開発を進めるデベロッパーの方々もおり、期待した最上級の盛り上がり。大変ありがたい」と、開発リーダーを務める林要氏もさらなる開発の加速に期待を寄せる。

 店頭向けと家庭向けの違い

しかし、開発チームにとって、家庭用向けの販売にこぎ着けるまでの1年間の道のりは、決して平坦なものではなかった。昨年6月の発表後、ペッパーはソフトバンクの主要ショップに”出勤”して接客をこなしていた。店頭の反応は上々だったが、同時に開発チームは壁にぶち当たる。

ペッパーの開発リーダーを務めるソフトバンクロボティクスの林要氏

それは「10分程度のコミュニケーションで人を楽しくさせる店頭のペッパーと、日々の暮らしの中で必要とされる家庭のペッパーはまったく異なる」というもの。

店頭のペッパーは目前の客に対して、さまざまな案内や冗談を交えたトーク、ロボダンスなどを繰り出して楽しませる。しかし、家庭では、一方的に話しかけるのではなく、目の前の相手にペッパーと会話する意思があるのか、という点から考えないといけないからだ。

どんなコミュニケーションをとれば、家庭の中でより自然な存在でいられるのか。前例のない細かなチューニングに開発チームは四苦八苦した。人間のように、音や気配などで直観的に人の存在を認識したり、その場の空気を読めればいいが、そんな仕組みはどこにもない。ペッパーを一から作り直すような開発は、まさに試行錯誤の連続だった。

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