ミラノの太陽、シチリアの月 内田洋子著

Books Review

ユーロ危機で火元の南欧に耳目が集まる日々が続いているが、経済や財政のデータのみによって真因に迫れるかといえば、そうではない。国ごとで比較すれば、文化や民族性、歴史に根差した産物であると、つくづく感じさせられる。

中でも、不思議の国イタリアは、なぜ「万年財政劣等生」なのか。風土、社会、人々を知らずして理解できまい。イタリア人の本領を見せつける本書で、その感想をより強く持たされた。

カフェで知り合った大学教授から自宅を半分買わないかと誘われる「ミラノで買った箱」から始まる短編10話で構成。いずれもがイタリア男女のドラマチックな生き様を切り取る。権威への反発がある一方で、神の意思という暗黙の前提があったり、シチリア島で“イタリアの南北問題”が示されたり。もっとも、イタリアに30年以上生活し、すでに「地元の人」になっている著者にとっては、こういった理解は異論があるところかもしれない。

小学館 1680円

  

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