GAPが到達できなかった形に挑戦する 柳井氏後継候補の1人 堂前 宣夫(下)

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「今度は立地も全然違うし、昔のニュージャージー店とは違います。 雪辱を果たす、という意味合いはない」と堂前は語る。だが、米国事業では「再挑戦」というのが本音だろう。現在、ユニクロの海外事業は中国を主体としたアジアが中心。12年8月期末の店舗数で見ても中国145店に対して米国3店(ニュージャージー、サンフランシスコを含めて5店)であり、今のままでは、米国だけで20年までに店舗数1000店、売上高1兆円を目指す計画には程遠い。成長の曲がり角を迎えつつあるGAPはともかく、「ZARA」を展開するスペインのインディテックスや、スウェーデンの「H&M」など、海外ファストファッションなどとのグローバル競争も一段と厳しさを増す。

米GAPが到達できなかった「形」に挑戦

「確かに北米はブランド認知度で苦しんでいました。でも5番街出店のおかげで大きく印象が改善しました。賃借料が高くてすぐに大きな利益を上げるのは難しいですが、売上げはすでにユニクロの店舗で世界一。つい先日Eコマースも始めたのですが、何にも広告していないのにかなり売れています。広告するかどうか迷いましたが、していたら大変な混乱になっていた。しなくてよかった」。

「ブランド認知度は確実に上がっていて、積極的に出店をする時期です。ただ問題は現場のオペレーション。ユニクロは個々の店が全て。店長がしっかり運営して経営していかないと、すぐに店はがたがたになる。現地人で人材をちゃんと育成するのが一番間に合わない。そこが喫緊の課題」。

ライバルにひるむ様子もない。しかも目標は高い。「ZARAはヨーロッパでは強いですが、北米ではまだ小さくまだ大きな脅威には思っていません。H&Mも確かに大きい。ですけど、どれぐらい利益をあげているかというと、北米ではさほどではない。一方で、世の中でダメだダメだといわれているGAPも、北米では大きな競合と考えています」。

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