5月3日、インディアナ州で行われた、米大統領予備選挙は、事実上誰も2015年に予想していなかった結果となった。ドナルド・トランプが、ほぼ確実に11月8日の米大統領選挙における共和党候補となったのだ。
インディアナ州の予備選挙で、トランプは、テキサス州上院議員テッド・クルーズの36%とオハイオ州知事ジョン・ケーシックの8%を圧倒する53%もの票を獲得した。これは、総代議員数のうち、トランプが今、指名獲得に必要な過半数(1237)のうち、1007を有することを意味する。対するクルーズは546、ケーシックは153であった。
アイゼンハワー以来の非政治家候補に
クルーズは、インディアナ州をトランプ阻止のラストチャンスと見ていた。これが不発に終わったことで、クルーズは、共和党の候補指名の選挙戦から撤退すると発表した。ケーシックも4日に撤退を表明した。
そもそもケーシックのキャンペーンは、トランプが7月にオハイオ州クリーブランドで行われる共和党全国大会において1237の代議員数に達しないとの期待の上に成り立っていた。その場合、前回記事でも触れた「ブローカード・コンベンション(過半数を獲得した者がいなかった場合に協議とすり合わせで正式な候補を決める方法)」を行うことになるという前提であった。
ケーシックは、こうなれば共和党は、共和党の主流の自分を選択することに繋がるだろう、と考えていた。2012年4月までは共和党員として登録していなかったトランプよりも自分を選ぶに違いないと考えたのだ。しかし、それが困難になったことで撤退を決めた。
トランプが共和党候補として出馬すれば、選出前に政治家としての職に就いたことがなかった者として、ドワイト・アイゼンハワー司令官(第二次世界大戦中ヨーロッパで最高司令官であり、1952年に共和党から大統領に出馬し選出された人物)以来となる。トランプがどうやってこの離れ業を達成できたのかは、多くの政治学者や評論家の分析テーマとなり、今後何年にもわたって本が書かれるだろうが、すでに要因のいくつかは、明らかである。
それを8項目に分けて説明してみたい。
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