トランプ候補が作りあげた「日本問題」の憂鬱

グレン・S・フクシマが米大統領選を読む

ウィスコンシン州ミルウォーキーで撮影(2016年 写真:ロイター/Ben Brewer)
グレン・S・フクシマ氏はワシントンD.C.のシンクタンク「米国先端政策研究所(CAP)」の上級研究員。カリフォルニア州出身で、米国通商代表部で対日と対中を担当する代表補代理や在日米国商工会議所の会頭を務めた経歴を持つ。米日関係に大きな影響を持つ人物である。
東洋経済オンラインでは、米日関係に焦点をあてたフクシマ氏のオリジナルリポートを定期的に掲載する。第1回は共和党の有力候補であるドナルド・トランプ氏が両国関係に与える影響についての論考をお届けする。

 

2015年の時点では、2016年の米大統領選挙でドナルド・トランプが共和党の指名を受けるかもしれないと予想していた政治評論家はほとんどいなかった。しかし3月下旬現在で、トランプは指名獲得に必要な代議員数1237人のうち738人(58%)を獲得している。後を追っているのは463人(37%)のテキサス州選出の上院議員テッド・クルーズと、143人(12%)のオハイオ州知事ジョン・ケーシックだ。共和党主流派は今、トランプの同党指名獲得を阻む方策を必死で模索している。

民主党サイドでは、ヒラリー・クリントンが同党の指名を勝ち取るのに必要な代議員数2383人を間もなく獲得するのが、ほぼ確実となっている。一方の共和党サイドでは、次の5つのシナリオが考えられる。それは以下のようなものだ。

共和党における5つのシナリオ

(1) トランプがこのまま予備選挙で勝利し続け、必要とされる1237人の代議員数を獲得して同党候補となる

(2) クルーズが代議員数でトランプ氏を追い越して候補になる

(3) どの候補も必要な代議員数を獲得できず、7月にオハイオ州クリーブランドで予定されている共和党全国大会で、ブローカード・コンベンション(過半数を獲得した者がいなかった場合に協議とすり合わせで正式な候補を決める)で決着をつける。こうなればトランプもクルーズも指名される確率は低い

(4) ブローカード・コンベンションの結果で指名を獲得できなかったトランプが第3党の候補として立候補する

(5) トランプが代議員数で勝利するものの、それを快く思わない主流派の共和党議員が同党の価値観と政策の代弁者としてもっとふさわしいと信じる他の候補(例えば、下院議長のポール・ライアン)を推薦する

このレースにトランプがどれだけ長くとどまるかは日米関係に影響を及ぼす可能性がある。それは、トランプが、米国が解決すべき問題の1つとして日本の名前を挙げ続けている両党で唯一の候補だからだ。トランプが焦点を当てている、対日関係での課題は以下の4点である。

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