鉄鋼市況、改善トレンドに水差す中国の濫造

新日鉄住金、大幅減益からの復活は不透明

日本の高炉大手は中国メーカーの粗鋼生産量に振り回されている(記者撮影)

国内高炉大手3社の2016年3月期決算は、そろって非常に厳しい結果となった。

最大手の新日鉄住金の売上高は4兆9074億円と前期比で13%減少。経常利益は56%減の2009億円、純利益も32%減の1454億円と反落した。2位のJFEホールディングスの純利益は76%減の336億円、3位の神戸製鋼所に至っては純益が215億円の赤字に沈んだ。

主因は、世界の粗鋼生産量の5割を占める中国の景気減速や過剰生産能力、輸出拡大によって、アジアなど海外鋼材市況が急落し、日本からの輸出採算が大幅に悪化したことにある。原油市況の低迷に伴い、比較的付加価値の高いシームレスパイプなどエネルギー関連鋼材の需要が落ち込んだことも大きい。また、鉄鉱石価格の暴落で原料の在庫評価損が膨らみ、海外鉱山権益の減損にも追い込まれた。神鋼は中国の建設機械事業で多額の特損も計上した。

新日鉄住金の今期予想は非公表

一方、今2017年3月期について新日鉄住金は、現時点では合理的な算定・予想を行うことができないとして、1年前と同様に会社予想を公表しなかった。JFEは原料、鋼材価格などの先行きが見通すことが困難なため、足元(2016年3月末)の水準が年間を通じて継続する前提で、経常益予想のみ前期並みの650億円と発表。神鋼については売上高が前期比4%減、経常益が同21%増、純益が200億円へ黒字化と、配当以外は会社予想を発表した。

新日鉄住金の栄敏治副社長は、「国内は上期がまだ厳しいが、下期には五輪関連の建設需要の本格化が見込め、自動車など個人消費関連の回復も期待できる。在庫評価損も最近の原料高で大幅に減る。コスト削減についても今期は500億円以上進める。一方で、大幅な円高は減益要因。残る問題は海外のマージンがどうなるかだが、ボラティリティの高い展開が予想される」と話す。

業界幹部が期待の反面、戸惑いを示すのが最近の鋼材市況の高騰だ。代表的な鋼材商品であるホットコイル(熱延鋼板)のアジア市況は2015年12月には1トン当たり300ドルを割り込み、2年前の約半分まで暴落したが、今年に入ると反騰に転じ、4月には400ドルを突破している。

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