「スキル合わない」で不採用、人事の本音は? 仕事には学歴や資格より大事なことがある

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そのように考えると、仕事ができる人というのは、個人としての経験やスキルがあることを前提としたうえで、「周りとうまく協調し、チームとして足し算ではなく掛け算の結果を出せる人」と定義できるのも合点がいくことでしょう。

ソフトスキルが重要視される職種もある

春夏冬さんのケースが当てはまるかは別として、「スキルが合わない」という文句は、「仕事上のハードスキルは高いが、ソフトスキルに問題があり、当社のカルチャーには合わない」と同義語であるケースが大半です。

いただいた文章からは、春夏冬さんが総務人事系の仕事をされていることがうかがえますが、そういった管理部門業務は営業のように数字という明らかな結果が伴いにくく、通常「守る」仕事であったり、見方によっては社員の仕事を増やす業務であるからこそ、ソフトスキルがより大事です。

ですから、もしかしたら「個人の範囲での」仕事ができる人として避けられているのではなく、チームで行う「仕事ができない人」として避けられてしまうのかもしれません。

いずれにせよ、先ほど申し上げたハード・ソフトスキルの双方の視点から、ご自身にどんな問題がありうるのかを今一度考えてみるのがよいでしょう。「自分が見えない」のは、もしかしたらハードスキル面での自分が見えないのではなく、ソフトスキルサイドの組織における「自分の立ち位置が見えない」とか、どのようなカルチャーの職場で仕事をしたいかが見えない、ということなのかもしれません。

働いて結果を出すということは、ご自身の持っているスキルや経験と、仕事をするうえでの環境がマッチした際に初めて成し遂げうるものです。であるからこそ、2つの構成要素が大事になってくるわけですし、仕事を選ぶ際はその2つの視点で、自分自身にとってのベストな棚卸しをたうえで探すべきなのです。

ハードスキル面だけに焦点を当てた仕事選びは成功しませんし、環境だけを考えても成功はできません。双方のプラスの相乗効果があって、初めてよい仕事ができるわけです。春夏冬さんがご自身にとってのベストな仕事に出合えますように応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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