英国最大の鉄道計画に日立が切り込めたワケ キーマンを直撃

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--植田さんの経営スタイルは、最初からこういう考えで?

そうですね。自分自身にあまり能力がないんで(笑)。人の能力を引き出したほうが、絶対いいものができる。

人に任せて、能力を引き出したほうが、よりいいものができるということのは、自分が管理職になったときに、そう思いましたね。アシュケナージという有名なピアニストがいるんですが、彼は指導方針として、弟子にああやれ、こうやれと自分のやりかたを押し付けないと言っているんですね。自分のやり方を押し付けると、若い弟子たちが自分より上に行かないと。ですから、ああやれ、こうやれと押し付けるんではなく、ナビゲートするんだと。そういうことを何かで読んで、「やはり、これだな」と。

--欧州大陸での受注活動の現状は?

受注活動は、もうやっていまして、「イノトランツ」という年に1回ベルリンで開かれる展示会があるんですけど、社長の中西宏明もそこに行きました。イノトランツは十何万人と集まる大きな展示会ですが、そこで欧州向けの電機品などをPRしています。

クラス395は、ロンドン五輪のシャトル便として使われましてね。7分間隔で24時間運転して、オリンピック、パラリンピックともに無事故だった。それに今度はIEPも正式契約しましたので、欧州での日立の評価は大きく上がりました。入札に参加してほしいという話はたくさん来ています。

--国としては、どこがターゲットになっているんですか?

いま入札に参加しているのはドイツです。ご承知のように欧州は1つの国ではなくて、ドイツはドイツ語で、ドイツの規格でやらなければならないので、たいへんなんですけど。そこは、先ほども申し上げたように、ドイツは現地のドイツ人をうまく活用してやっていきたいと思っています。

--新興国で新たにインフラを造る場合と、先進国ですでにあるインフラの更新需要とでは、受注活動のアプローチはどう変わってくるのでしょうか?

これは、全然違いますよね。新興国の場合は、規格というか歴史がないので、日本の規格がいいのか、欧州の規格がいいのか。そもそものスタートからして違う。

 

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