人望のある人は「不機嫌」を切り離している 他人を操りたい人の策略に乗ってはいけない

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これには、先に述べた「自己評価の低さ」が関係しています。自己評価が低く、自分に自信がない人は、他者からの評価に敏感です。面と向かって自分の意見を口にして、相手からけなされることをいつも恐れています。そのため、自分の不満や怒りを素直に口に出すことができないのです。

口に出せない不満や怒りが、「視線を合わせない」「黙り込む」「物にあたる」「否定する」「怒鳴る」などといったネガティブな態度となって現れます。これがいわゆる不機嫌です。

ただ、自分よりも格上の相手にこうした態度をとると、「何を甘えているんだ!」と一喝されて終わりです。ですから、不機嫌は「この人は甘えを受け入れてくれる」「この人には不機嫌にしても大丈夫」と思う相手の前でのみ発揮されます。不機嫌の多くが「上司・部下」「親・子」などの、「上下関係」「支配・服従関係」で出てくるのはそのためです。

不機嫌な人とは、自分に自信がなく他人に甘えている人なのです。

不機嫌な人でいるということは、未熟なままでいるということです。つい不機嫌になってしまう自分をコントロールし、上機嫌で人望のある人間になるには、どうすればよいのでしょうか。

まずは、自分がイライラしているなと感じたら、誰かに対して「当然~すべきなのに」「普通は~するはずなのに」と期待していないかどうか自問しましょう。

一般的に、「~すべき」「~するはず」と考えている人は、不機嫌になりやすい傾向があります。「~すべき」「~するはず」というのは、自分の固定観念、つまり単なる思い込みであることが多く、そうした思い込みが他人に通用するとは限らないからです。

「あの人は~すべき」「あの人は~するはず」という相手への期待が高まりすぎた状態は、ネガティブな甘えを受け入れてもらいたがる不機嫌な人の心理そのものです。つまり、相手に期待しすぎると、不機嫌になってしまうのです。

上機嫌でいるためには、それらの思い込みを捨て、相手に望みすぎることをやめましょう。もし仕事で相手に何かしてほしいことがあるときは、具体的な指示を出すことで、「言わなくても察すべき」「言わなくてもわかるはず」といった相手への不満を溜めることなく、仕事を進めていけるようになります。

問題を切り離し、相手の不機嫌に感染しない

自分はむしろ上機嫌だったのに、不機嫌な人の近くにいたせいで、イライラが移ってしまった……ということもあるでしょう。

たとえば、「おはようございます!」と元気に挨拶をしても、不機嫌そうに黙り込んで挨拶を返さない人がいると、誰でも「なんだ、あいつ」とムカッとくるものです。

ムカッとした後の考え方は、だいたい次の2つのパターンに分かれます。ひとつは、「もしかして自分は嫌われているのかな」「自分の声が小さかったから、聞こえなかったのかも」と自分を責めるパターン。もうひとつは、「挨拶ができないなんて、あいつは社会人失格だな」と相手を責めるパターン。あなたは、どちらの捉え方をするほうでしょうか。

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