松下幸之助は初対面での第一声が特別だった

初めて会った日に何を語ったか?

松下は、公の人として自分の責任を自覚し、遂行する意志を持っていた(撮影:高橋 孫一郎)

「きみのお父さんは、いくつや。お母さんは元気か」

大きな机の向こう側から身を乗りだすようにして、初対面の松下幸之助は私に話しかけてきた。

PHP研究所の秘書として採用するかどうかの、最終面接であった。笑顔が実にやさしかった。いくつかの簡単な質問をしたあと、最後に松下は微笑みながら言った。

「きみ、2年間だけでええんや、わしのそばで勉強せえへんか」

松下通信工業から異動

この連載の一覧はこちら

それまでこの異動の話を断ろうと考えていた私は、思わず「はい、お願いします」と返事をしていた。この人の下で働くのは、いい経験になる。2年間だけならやってみてもいい、と思った。

正直なところ、当時はPHP研究所の存在を知らなかった。横浜の松下電器の通信工業にいた私は、若かったからより多くの体験を積みたいと思い「1度、別の職場に移りたい」という希望は出していたけれど、PHP研究所に行きたいということは、その存在すら知らなかったほどであるから、希望の埒外であった。だから、PHP研究所への異動の可能性があると上司から聞かされたときは、不安に包まれた。

次ページPHPとは何をしているところか
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチAD
単身世帯急増時代の社会保障

家族依存型、日本の社会保障はそう表現されてきた。しかし、単身世帯比率が30年間で2.2倍に急上昇、家族内の支え合いが弱体化。社会保障を強化し、単身世帯の高齢化に備える。