ライオンが中国の高級ブランドになった理由

指名買いされる人気の秘密を濱社長が語った

後発ながら、なぜ中国市場で伸ばすことができたのか。濱社長は日本基準の品質の高さを語った
内需系企業の印象が強い日用品大手のライオンが、アジアで存在感を増している。とりわけ好調なのは中国だ。日本製品のブームと健康志向の高まりを背景に、高機能歯ブラシが大ヒットしている。
米コルゲートやP&Gなど、競合を相手にシェアを高め、2014年にはEC(電子商取引)市場で歯ブラシ首位に躍進。中国の景気減速が懸念されるなか、どのように拡大路線を歩むのか。濱逸夫社長に聞いた。

 

――米企業が根を下ろす中国の歯ブラシ市場で、シェアを伸ばしている。

競合他社に先駆けてECに力を入れてきたことが大きい。ライオンの中国ビジネスは、1988年に現地企業と合弁を設立して始まった。2011年に現地法人を完全子会社化したころから集中的にマーケティング費用を投下できるようになり、ECを始めることができた。

中国で絶大な人気を誇るライオンの歯ブラシ。製品というより、ライオンのブランドを求める消費者が多いようだ

当時は中国のECがこれから盛り上がる、という時期だった。ライオンは日本では誰もが知っているが、海外ではそうはいかない。消費者に対してダイレクトに商品を紹介できるECはとても有効だった。

歯ブラシや歯磨きは、口に入れた瞬間にいいものかどうかがわかる。品質の高さを中国の消費者にも実感していただき、一気に新規客が増えた。特に歯周病予防の歯ブラシ「システマ」が評価され、そこから中国ビジネス自体が好転してきた。

現在の中国では日本の製品への信頼感が高まっている。私自身、2015年末に中国に行き、それを肌で感じてきたところだ。

ライオン製品は、なぜ人気なのか?

――ECの実績はどの程度か?

中国におけるECの売り上げはここ数年で毎年倍増し、全体に占める比率は35%まで高まった。2014年には、現地にオーラルケア製品の工場を新設し、生産能力を4倍に引き上げたものの、それでもフル生産状態だった。

品薄状態を補うために、現地法人がEC限定で日本の製品を販売すると、それも絶好調。中国の好調を受けて、2015年から今年にかけて、歯ブラシを生産する日本の明石工場を10年ぶりに増強している。

――他社の製品とどこが違うのか、売れている理由は?

歯ブラシは、高機能品になるほど毛の植え方が複雑になっていく。当社の製品は、細かく磨けるようにヘッドを小さくしつつ、口の中で折れにくいようにしている。

こうした高い品質を実現するためには、非常に多数の工程を経る必要がある。繊細な製品をいかに大量生産するか。そこに技術の粋が詰め込まれているわけだ。この技術は、中国の工場でそのまま横展開されている。中国でも、メイド・バイ・ジャパンの強みは十分に発揮されている。

面白いのは、単に歯ブラシが売れるというだけではなく、ライオンの中国名である「獅王」(スーオン)という言葉自体がブランドになっているということだ。2015年は、訪日観光客向けに、足裏冷却シートやニキビ治療薬がよく売れたが、彼らは(商品名ではなく)「獅王」が欲しい、と指名買いしてくる。コーポレートブランドが信頼の印になっている。

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