オプト株主総会、問われた"実効なき"制度 監査委員会等設置会社への移行は続くのか
インターネット専業の広告代理店オプトホールディング(以下、オプト)の定時株主総会は、少数株主の5割が会社提案議案に反対票を投じるという、ショッキングな結果に終わった。
東証一部上場の同社は、3月25日開催の定時株主総会に、監査等委員会設置会社(以下監査等委会社)への移行に伴う定款変更議案を出していた。
だが、3月上旬、同社の株式の約5%を保有する米国系ファンド・RMBキャピタルが、この議案に反対票を投じる予定であることを宣言し、他の株主にも反対票を投じるように呼びかけたのだ(詳細は「ファンドがオプトの監査等委員会移行に反発」参照)。
2015年5月のコーポレートガバナンスコード適用開始で、上場会社は2名以上の社外取締役設置が事実上義務付けられた。適任者の確保に悩む各社にとって、手っ取り早く2名の社外取締役を置いて、ガバナンス強化に動いたことをアピールできるのが、監査等委会社の制度。コード適用開始と同時に、改正会社法施行で誕生した制度である。
この制度では監査役を置かない代わりに、過半数の社外取締役で構成する監査等委員会を置く。上場会社は既に2名以上の社外監査役設置を義務付けられているので、現行の社外監査役を社外取締役に横滑りさせればいい。この手軽さゆえに、雪崩を打つように導入する企業が続出。3月末時点で507社(筆者調べ)、3月1か月間だけで97社が移行を表明した。3月決算企業の株主総会が開催される6月下旬に向け、今後も加速度的に増えていくだろう。
機関投資家の投票行動に大きな影響を与える、議決権行使助言最大手のISSも、監査等委会社への移行には賛成票を投じる方向で助言している。従って誰も反対しない。
少数株主の5割が反対
その誰も反対しないはずの制度に、米国系ファンドが待ったをかけた。経営陣の人事、報酬の決定権が、指名委員会と報酬委員会に帰属する指名等委員会設置会社が理想であり、それが無理なら従来のまま任意で指名委員会、報酬委員会を立ち上げることが先であると主張。単独で調査権を持つ常勤監査役が不在になるリスクを問題視した。
オプトは創業メンバーと電通の子会社が合計で42.7%の株式を保有しており、実際に総会で監査等委会社移行議案が否決される可能性はなかった。注目されていたのは、どの程度の反対が出るのか、だった。
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