社外取締役は「官僚」の天下り天国になるのか 在野の人材不足問題をどう解決する?

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社外取締役に官僚が増える?(写真:joe / PIXTA)

「社外取締役に上場企業の○○社前社長が就任」といった経済ニュースを頻繁に目にするようになりました。

社外取締役を巡っては、過去には学者や元官僚も多く、コーポレートガバナンスがしっかり機能していなかったと指摘されるようなケースもありました。そんななか、東京証券取引所は2015年6月に導入した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)で、上場会社は独立社外取締役を少なくとも「2人以上」選任すべきとうたっています。はたして、いったい誰を選ぶべきなのか?ここでじっくり考えてみたいと思います。

民間VS.官僚 誰が適任?

そもそも社外取締役とは?過去や現在、該当企業の業務執行に関わっている人はなれません。さらに同じ企業内の慣習等に縛られない新たな「発想や視点」を取り入れる貴重な役割を担うことを期待されています。

当方の所属していたリクルート社出身の社外取締役としては松永 真理氏が有名です。女性の社会進出を応援した就職情報誌「とらばーゆ」の編集長や、リクルートブック等の編集部を経て、1986年7月には就職ジャーナル編集長に。その後、NTTドコモでiモードの企画開発にあたり、バンダイ、テルモ、ロート製薬などで社外取締役を歴任しています。2014年に就任したロート製薬の社外取締役に関しては男性ばかりの取締役に対する風穴を開けることを期待されていたようです。

以前、東南アジア・オーストラリア最大のLCC航空会社であるエアアジア・ジャパンの社外取締役には、楽天の三木谷浩史氏が就任したことが話題になったこともありました。社外取締役に就任する人物としてはこのように知名度の高い経営者に加えて、官僚出身者などの名前もちらほら見かけます。

社外の視点を取り入れて企業経営の規律を強め、収益力を高めていく企業統治(コーポレートガバナンス)が本格化することは素晴らしいことですが、一方で官僚にとっておいしい「天下り先」が増えるだけとの批判も出ています。

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