男たる者、まず女性をオルガスムに導くべし

性の真実を尋ねつづける鹿島茂が説く

男たる者、まず女性をオルガスムに導くべし、と性の真実を尋ねつづける仏文学者・鹿島茂は説く(写真:Yayimages / PIXTA)
当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

フリードリヒ・エンゲルスが『空想から科学へ』で空想社会主義者に分類したサン・シモンは、近年、フェミニストの側から、女性解放論の先駆者として再評価されているが、その教えを奉じたサン・シモン主義者たちがメニルモンタンの共同生活所で着用していたまことに不思議な制服のことは知られていない。それは、一人では脱着できず、脱着のさいにはかならずだれかに手伝ってもらう必要があった。

サン・シモン主義者はこの制服が同志たちの友愛と連帯を深めると信じたのである。

男女の快楽のポイントは異なる

私はセックスというとかならずこのサン・シモン主義者たちの制服を思い浮かべる。というのも、セックスで男女がオルガスムに達するには、お互いに助け合わなければならないからである。

なぜなのか?セックスにおいて、男女の快楽のポイントが異なるからだ。男にとって気持ちいいことは女にとって気持ちいいことではなく、女にとって気持ちいいことは男にとって気持ちいいことではないのである。私はこれをセックスの非対称性と命名している。それはフェラチオとクンニリングスに関するアンケート結果を見れば歴然としているだろう。

ところが、世の中の多くの人々は、このセックスの非対称性にほとんど気づいていない。男も女も自分にとって気持ちいいことが相手にとっても気持ちいいことだと思い込んでいる。世に言う「性の不一致」はまさにこれに起因している。というより、「性の不一致」こそが本来の姿なのである。セックスの啓蒙書はこの点をまず第一に教えなければならない。

次ページかくて、男も女もオナニストばかりになる
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