品川駅前には、なぜ「家電量販店」がないのか もう一つの空白地帯、東京駅にはヤマダが
ヨドバシカメラは「長い年月のあいだ、品川地域とは縁がなかった。今後も品川出店の予定はない」。ビックカメラは、「当社の出店においてターミナル駅ということは意識しており、『駅前×大型×都市型』のコンセプトで今まで出店しております。ただ、具体的な場所に対する言及は致しかねます」という。ヤマダ電機はお隣の大井町には店舗を持つが、品川駅にはない。
現状では、ヨドバシカメラなら新宿や秋葉原、ビックカメラなら有楽町や新宿・渋谷・池袋にいくしかない。まだまだリニア中央新幹線開業までは時間があるが、駅周辺の再開発が本格化する今後、変化は起こるだろうか。
東京駅、ヤマダ電機の挑戦
一方、東京駅の八重洲口には2015年に、ヤマダ電機の「Concept LABI TOKYO」という店が開業した。東京駅は、JR東日本の乗車人員が1日当たり41万8000人、JR東海の乗車人員が9万3000人という駅で、東海道新幹線をはじめ、東北(含む山形・秋田)・上越・北陸の各新幹線の始発駅である。同駅にはかつて「さくらや」があったものの、2010年に閉店し、それ以降家電量販店は存在しなかった。
では、なぜヤマダ電機は東京駅前に店をつくったのか。ヤマダ電機によると、東京駅は「交通の要衝であり、日本の表玄関として海外の方々にも知名度が高い場所」。そこで「日本だけではなく全世界に向け、最先端の情報を発信する」ためにこの店を開いたという。
ビジネスマンやOLといった層、「周辺の有力な百貨店を訪れる富裕な層」といったいままでになかった顧客層を開拓するだけではなく、「インバウンド需要や新幹線の利用客を中心とした出張、国内外への旅行者によるアウトバウンド需要まで取り込んでいける」との狙いだ。
しかし、実際の店舗に行ってみると、一般的な都市型家電量販店と比べて品揃えは若干少なめの感がある。
それについて同社は「(Concept LABI TOKYOは)一流メーカー各社の最新製品やサービスを、ライフスタイルとともに提案する新しい店舗」であり、「他の量販店でも味わえない日本が誇る最先端の家電製品とサービスをワンストップで体感できる、前例のない店づくり」をしていると説明する。そして「日本に限らず、世界の家電流通業界のあり方、既成概念を覆していく店舗である」とし、「他社様との店舗の比較は不可能」と述べている。
従来型の都市型家電量販店ならば、有楽町や秋葉原に行けば確実にある。そんな中、全国各地に出店するヤマダ電機は、東京駅前への出店にあたり、あえて違う色を出してきたといえる。
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