マイナス金利の本質を知らない人は損をする ビジネスマンが「経済学」を学ぶ意味

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経済学が役立つ時代がやってきました(写真:Graphs / PIXTA)
ビジネスマンの間で教養ブームが続いています。世界史、哲学、宗教……そして経済学は、「自分の頭で考える」時代を生き抜くための必須教養になりました。ピケティ本が10万部超のベストセラーになるなど「ブーム」ともいえる現象が起こっています。
なぜでしょうか? 東京大学経済学部、大学院経済学研究科で20年以上教鞭をとり、『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』がベストセラーとなっている井堀利宏氏(東京大学名誉教授)が、教養としての経済学について語ります。

 

私は、東京大学経済学部と大学院の経済学研究科で22年間、東大で教鞭をとってきました。実は長い間、経済学は「死んだ学問」だと揶揄されてきました。なぜなら、経済が「過去に起きたことをモデル化する」という学問だからです。その認識がここ5年くらいで、大きく変わってきた感じがしています。経済学が「本当に役立つ時代」がやってきた、と私は考えています。

なぜ経済学が「必要」になったのか?

経済学が「必要」とされるようになった理由は、ひと言でいえば、経済が成熟したからです。経済が右肩上がりの時代であれば、何も考えなくても、どこの国でも成長することができます。もちろん、個人の給料も、苦労せず毎年上がります。そういうときは、わざわざ過去を振り返る必要はありませんし、皆が同じような夢を実現したいと思っているので、政府の経済政策にも迷いがありません。

でも、多くの先進国において成長が止まると、そういうわけにはいきません。「今ある富をどうやって分配すればいいか」「人々の好みが多様化しているので、誰の利害優先すべきか」といった、少し複雑な問題が出てくるわけです。

まさにそのときに役立つのが、経済学の知識、そして「経済学的思考」なのです。

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