空前の焼肉バブル!「大阪の肉」が人気のワケ 外国人観光客はなぜ「ミナミ」を目指すのか
2013年の総務省調べによると、大阪の一世帯あたりの焼肉の消費量は全国でも3位。関西の都道府県はすべて全国トップ10にランクインしている。従来からの全国でも有数の牛肉文化と、その歴史をスタートさせた場所がミナミということも、現在の繁盛具合と無関係ではないだろう。
鶴橋、東京の赤坂などに店舗展開する「牛一」は、神戸牛や佐賀牛などのブランド牛を提供する高級店だ。同社の「道頓堀店」では、売り上げの3割強を外国人客が占めるという。代表の濵絵里架さんは話す。
「日によっては、予約の9割が外国人ということも珍しくありません。そして、滞在中に毎日来店していただけるリピーターのお客様もいます。特に人気が高いのが神戸牛。1万円程度の単価のものもどんどん注文が入りますし、中には『値段を気にしなくてもいいので最高のモノを』と言われたこともあります。後でお客様に聞くと、中国では神戸牛は『幻の食材』と言われているようで、わざわざ神戸牛を食べるために来日する方もいるそうです」
神戸牛についてはミナミでは正規取り扱い店が少なく、いわば牛一の一人勝ちともいえる状況。だが、海外への輸出が増えていることもあり、精肉店を運営し、一頭買いする同社でも、最近の仕入れ価格の高騰には頭を悩ませている。焼肉業態は通常の飲食業態より、原価が5%から10%ほど高いことが多い。そのリスクがあるため、ミナミでは新規参入したい店や企業も状況を見極めていることが多い状況だという。
「原価が上がっていることもあり、『今来店いただいている外国人の方が減ったらどうしよう?』という不安を日々感じています。それほど、売り上げに占める割合は大きくなっていますし、インバウンドに頼っている側面があります。他の店舗さんも共通の悩みではないでしょうか」
台湾・香港から絶大な支持を集める「食べ放題店」
ブランド牛の取り扱い店や高級店に旅行客が集中しているのか、というとそういうわけでもない。コストを重視した、食べ放題店も強い存在感を放っている。たった1000円(税別)で焼肉食べ放題が可能な「298」などの店舗も現れている。このあたりは価格競争が激しい大阪ならではだろう。
ミナミだけでも20店舗を超える食べ放題店がひしめき合うなか、特に勢いが目立つのが3480円(税抜)で国産牛焼肉食べ放題を謳う、「あぶりや」を展開する株式会社ワン・ダイニング。
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