空前の焼肉バブル!「大阪の肉」が人気のワケ 外国人観光客はなぜ「ミナミ」を目指すのか

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同社は、なんばで100席を超える大型店2店舗を運営していたが、既存店だけでは増え続ける旅行客に対応しきれなかった。そこで、昨年9月に外国人集客に特化した「道頓堀御堂筋店」をオープンさせた。

空前の焼肉バブルは定着するか

各種言語に対応したメニュー作成、中国語対応が可能なスタッフの積極採用、旅行客に特化した予約専用のスタッフまで在中させるという徹底ぶりで、受け入れ体制を強化している。

「あぶりや」の道頓堀御堂橋筋店 (写真提供:ワン・ダイニング)

「あぶりや」のミナミエリアの3店舗は、売り上げ全体の2~3割程度は外国人客が占めるという。しかし、他エリアと比較してもミナミの売り上げの伸び率は大きいこともあり、更なる売り上げ増を見越している。

「直近1、2年の間で台湾・香港からの『個人旅行客』のお客様が急増しました。ただ、弊社としては、現在の外国人客の売り上げはまだまだ改善の余地があるとみています。新店舗の下には、ドン・キホーテさんがあるのですが、ドンキさんと比較するとまだまだ足りないというのが正直なところです。今後も、インバウンドの売り上げは更に伸びていくと考えています」(ワン・ダイニング・広報担当)

今回紹介した店舗の他にも話を聞いたが、業績を順調に伸ばしているという意見が大半だった。その大きな要因となっているのが、外国人客の存在だ。

ただ、一方では肉需要が増えたことによる仕入れ価格の高騰に頭を悩ませている点は共通していた。特にブランド牛は、海外への輸出が増えていることもあり、2~3割ほど原価が高騰しているという。「それでも現在の状況が続くなら、全然プラスですね。今はまさに空前の焼肉バブル。あとはこの状況をどう根付かせるかです」という声も聞こえてきた。

「インバウンド特需」から、「文化の定着」へ。訪日観光客にとって、ミナミの定番食として焼肉が認識される日は、そう遠い未来ではないのかもしれない。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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