住友金属鉱山、銅で巨額の減損と投資のナゾ

銅と金の絶妙なバランス

減損したシェラゴルダ鉱山(資料提供:住友金属鉱山株式会社)

経営者にとって、「減損」とは自らの判断ミスの告白だ。

投資したものの、とても全額回収できない。やむなく、回収可能額まで資産を減額し、その分損失として計上する。経営者には口惜しく、辛い決断だ。

2月上旬、非鉄大手の住友金属鉱山がチリ銅山について減損処理し、689億円の投資損失を計上すると発表した。これがたたって、今2016年3月期は14年ぶりの経常赤字に転落する。いわばダブル失点だが、その10日後、サプライズが待っていた。

新たに10億ドル(1134億円)を投じ、米国銅山の権益を拡大する、と発表したのだ。当然、疑問の声が上がるだろう。「見込み違いをした端から、同じ銅に追加投資するのは、どういう了見か」と。一見、相反する2つの決定は、どういうロジックでつながるのか。まず、減損のほうから見ていこう。

「爆食」で価格高騰下の新山投資

減損の対象は、チリのシェラゴルダ銅山だ。ポーランドの鉱業大手KGHMが主導するプロジェクトで総投資額42.8億ドル(4853億円)。住友金属鉱山はそのうち31.5%、13.5億ドル(1529億円)出資している。同社にとって「史上最大のプロジェクト」だ。

出資を決めたのは2011年。リーマン危機後、中国の「爆食」が再燃し、銅市況が空前の1トン1万ドルをつけた年だ。「中国が買い占め、誰も銅鉱石を売ってくれない。自分で鉱山を確保するしかない」という切迫感が背中を押した。のれん代も高くついた。ところが、中国経済の減速で銅市況が反転。ピークの半値を割り込み、足元、4600ドル台に下がってしまった。

シェラゴルダは真っさらの新山だ。しかも、海から140キロメートルの内陸部にある。インフラ構築や副産物モリブデンの分離工程の整備に手間取り、事業費は当初の39億ドルから10%膨らんだ。2015年11万トンのフル生産に持って行くはずの計画も1年遅れになっている。

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