帝人、「拡大成長」路線転換へ試される真価

今期は3度上方修正でも来期は一転不透明

帝人は今期原料安などですでに3度も上方修正した。ただ市場環境やリストラといった要因も大きい(撮影:今井康一)

帝人はこの2月、2016年3月期として3回目となる、異例の業績上方修正を行った。理由は「原燃料価格の低下」「痛風薬の販売増」だ。原油安の進行で、樹脂事業において製品価格の下落以上に原料価格が低下し、スプレッド(利幅)が想定より大きくなったことが影響。予定していた研究開発費の一部が2017年3月期以降にずれ込んだことも寄与した。

2015年5月の決算時に公表した、今期の当初の業績予想は、売上高8250億円、営業利益475億円だった。その後、3度の業績修正を経て、今期の最新予想は、売上高は7900億円ながら、営業利益は650億円を見込んでいる。650億円という営業利益水準は、2008年3月期以来のこと。2013年3月期以降、4円まで減配してきた流れも止まり、今期は7円配を予定し、株主に報いることもできる。

しかし、問題は来期以降で、特に売上高を伸ばしていけるかだ。今期は利益こそ、上方修正を重ねているものの、売上高は逆に下方修正している。ここ数年の帝人は経営姿勢として、赤字続きだった電子材料・化成品事業のリストラを中心に、「まず利益を出せる体制へ」という、縮小均衡を最優先してきた。ライバルと目される同業の東レが、今期に売上高2兆1400億円、純利益900億円(いずれも会社予想)を順調に伸ばしているのとは、対照的である。

炭素繊維など好調ながら薬価改定は逆風

来期で読みにくいのは、原料(原油価格)の動向や金利、為替の動き。帝人の財務・IR担当者が頭を悩ませているのは、業績予想の前提となる市場環境である。もちろんこれは、帝人に限ったことではない。

帝人の場合、来期は、ここ数年間続けてきた、リストラ効果による利益押し上げが70億円ほど期待できる。赤字続きの米国におけるヘルスケア事業については5月の決算発表時にも詳細が公表される見込みだ。

また、痛風治療剤「フェブリク」の販売も引き続き好調で、年3割ペースの勢いが続いている。睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法のレンタル台数も引き続き好調で2ケタ増が続きそう。さらには、航空機向けに需要が旺盛な炭素繊維も、能力増強が必要なほどである。

ただその反面、薬価は2年に1度の改定の年を迎え、30億円程度の減益要因となりそうだ。原燃料価格と製品価格のスプレッドも、さすがにこれ以上の原油安は想定しづらく、今期ほど期待できそうにない。

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