なぜ欧米で市場の不安心理が収まらないのか

原因は金融規制強化による流動性不安だ

2月前半には欧州株が下落。フランクフルト証券取引所DAX指数も急落(写真は2月11日、AP/アフロ)

昨年半ばに中国上海総合指数が急落して以来、グローバル金融市場のセンチメントは低下したままである。2016年に入って市場のセンチメントはさらに悪化し、株価は急落して、ドル円相場も急速に円高が進んだ。1月以降、市場センチメントを決定付ける要因として、原油価格と中国景気の2要因に注目が集まってきた。加えて2月以降は、米国の景気減速も重要な要因になりつつある。

しかし、市場参加者の懸念を増幅させている最も大きな原因は、グローバルな信用市場における価格調整(利回りの拡大)ではなかろうか。

例えば、米国のハイイールド社債(BB格クラス以下の低格付け社債、いわゆるジャンク債)の利回りは、2月中旬には対米国債で8%を超える水準に達し、リーマン・ショック後の最も高い水準になった。2月には、ドイツ銀行が発行する社債および資本性証券(その他ティア1証券)の価格が急落する事態となり、市場参加者の不安を拡散させた。欧州における大規模金融機関の信用不安、そして、「リーマン・ショックの再来か」との不安を煽るに至っている。

価格調整は進んだのに市場心理が改善しない

筆者のように長年、信用分析に携わっている者から見ると、昨年来のグローバルな信用市場における価格調整の長期化は、奇異なものに映る。伝統的な信用分析に基づけば、過去半年以上にわたり拡大が続いた欧米社債市場の信用スプレッド(信用格差による利ザヤ)は既に「相当割安」と評価される。

通常なら、相当に割安と評価されれば、自ずと市場には買い手が現れ、価格は修正される。しかし、割安と判断した投資家が市場に参入することはなく、価格上昇(利回りの低下)がもたらされることなく、市場センチメントは一向に改善していない。センチメントが改善しないから、無用な不安を誘発する。このような負の連鎖が信用市場では生じている。

では、なぜセンチメントが改善しないのか。筆者はその主要因が、過剰な金融規制がもたらした信用市場の流動性に対する不安にあるのではないかと、考えている。以下では「現在は信用不安ではなく流動性不安が生じている」可能性について考えてみたい。

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