1年にたった一度だけの「列車で運試し」 初日の出が拝めれば「大吉」気分に!

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急行あじがうら。ひたちなか海浜鉄道に普段は急行はない

海から上る太陽は、やはり一番、初日の出感があるのだった。充実した行程に満足し、帰りに那珂湊(なかみなと)駅のおさかな市場で海鮮丼を食べようと降り立つと、なんと知っている方が目の前に!

音楽業界はもちろん、鉄道業界でもご活躍の向谷実さんである。「初日の出が見られなかったんだよ~」とがっかりしている向谷さん。

向谷さんは「常磐初日の出号」に乗られていたとのこと。この年、関東近辺で初日の出が見られたのは、どうやらピンポイントでこの辺だけだったらしい。

私がこちらは素晴らしい初日の出が見られたことを話すと「しまった!最初からこっちに来れば良かった!」とさらに悔しがられた。

場所によって見えたり見えなかったりするのは、運試しのようでおもしろい。そして運試しに勝つと、来年も行こう!という気になるのも不思議だ。

今年は寝台列車で年越し

到着した琴平駅は正月の装いだった

さて2016年。今年は初日の出号には乗らず、サンライズ瀬戸の高松・琴平行きの車内で年越しをした。琴平行きの臨時列車が大晦日に運行するのは初めてのことらしい。年に一度の終夜運転。終着駅がわかっていても、夜中に走る列車に乗るのは特別な感じがするので大好きだ。

予定より20分程遅れて運行すれば、瀬戸大橋を渡る頃に初日の出が見られる!と聞いていたので期待したが、遅れることはなかった。逆に40分程遅れると琴平駅まで到着できないとのこと。なかなかスリリングな行程である。

結局、今年は初日の出を見ることはできなかった。しかし夜通し走る寝台列車で年越ししたことは、通常乗っている寝台列車での体験とはちょっと違う気がした。通常なら寝台列車に乗る前と乗った後では日付が1日変わるだけ。ところが今回は東京駅を出発する時は2015年だったのに、到着した琴平駅では2016年。大きな日付変更線を越えたような、時空を越えたかのような、不思議な気分だった。

次はもっと遠くに行って、まだ訪れたことのない場所で初日の出を見るのもいいなあ、など考えだすと止まらない。さあ、来年はどこで初日の出を見ようか?

 

YASCORN(やすこーん) 漫画家

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2008年から乗り鉄、撮り鉄、メシ鉄。東京都在住。小学館の児童誌でデビュー以来、子どもから大人までファン層は広い。キャラクターデザイン、シナリオ制作、ワークショップ、音楽など多彩に活動。単行本は『おんな鉄道ひとり旅』1巻(小学館・「プチコミック」増刊号で連載中)、初の鉄道ミステリー小説『のぞみ、出発進行!!』(小学館ジュニア文庫)、『メシ鉄!!!』1~3巻(集英社・電子書籍のみ)、『GOGO♪たまごっち!』シリーズなど。「0泊3食おひとりさま電車旅」(横浜ウォーカーWEB・コミックエッセイ)、「鉄道食べすぎひとり旅」(ハルメクWEB)ほか連載中。(写真:坪内政美) 最新情報はTwitterで→@yascorn

 

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