「四季島」vs「ななつ星」、デザイナー対決の深層 豪華寝台列車に垣間見る、職人たちの矜恃

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「トランスイート四季島」の模型とともに写る奥山清行氏。水戸岡鋭治氏への対抗意識をにじませた(撮影:尾形文繁)

豪華寝台列車の“西の横綱”がJR九州の「ななつ星 in 九州」だとしたら、“東の横綱”はズバリこの列車になるだろう――。そんな予感を抱かせる車両の詳細が1月13日に発表された。

JR東日本が2017年春の導入を予定している「トランスイート四季島」。車内装飾のテーマは「日本の伝統美と現代アートの融合」だという。懐かしさを感じさせつつ、欧米の高級ホテルに滞在しているかのような印象すら受ける。

この車両のデザインを担当したのは、フェラーリの元デザイナーとして世界的に知られる奥山清行氏。鉄道分野でも幅広く活動しており、深紅に彩られた秋田新幹線「E6系」、和のテイストをちりばめた北陸新幹線「E7系」をはじめ、JR東日本の列車の多くが奥山氏の手によるものだ。

奥山氏ににじむ水戸岡氏への対抗意識

画像を拡大
四季島の内装模型。和の素材でモダンなデザインに仕上げた(撮影:尾形文繁)

「日本の文化の深さを、わかりやすい古い形ではなく、モダンな形で表現した」と語る奥山氏。直接的な言い方こそ避けたものの、「わかりやすい古い形」とはななつ星を意味しているに違いない。

ななつ星を筆頭としたJR九州の数多くの観光列車のデザインを引き受けてきたのは、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏だ。

水戸岡デザインの特徴は、木材をふんだんに使ったクラシックな内装。その人気ゆえ、水戸岡氏に観光列車のデザインを依頼する鉄道会社は後を絶たない。奥山氏が「モダンなデザイン」を強調するのは、クラシック感を売りにすることだけが観光列車ではない、ということかもしれない。

JR九州の観光列車のもう1つの特徴は「木材をふんだんに使っていること」だ。これに対しても、奥山氏は「四季島でも当然木材は使うが、日本文化の素材はそれだけではない」と反論する。「鋳物、漆、そして和紙。これらは内装にも使える。詳しくは明かせないが、いろんな素材を使っていく」(同)。

次ページ著名デザイナーの車両は他にもある
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事