台湾政界の風雲児「時代力量」トップを直撃 「民進党とはケースバイケースの関係に」

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時代力量の主席である黄国昌氏(撮影:楊虔豪)
1月16日に実施された台湾総統・立法院(国会)選挙では、最大野党の民主進歩党(民進党)が与党の中国国民党(国民党)を破り、政権交代を果たした。同時に、今回の選挙戦ではかつてない動きが見られた。新興政党の活躍である。特に、「時代力量」「緑党社会民主党」といった設立して1年も満たない政党が影響力を高め、時代力量は立法院で5議席を獲得、緑党社会民主党連盟は議席獲得はならなかったが、得票率では善戦、今後に希望を残した。
2月1日から始まる立法院では、この時代力量の動きが最も注目されている。同党の主席である黄国昌氏(42)は、自らも選挙区選挙に出馬し国民党候補を破って当選。黄氏は台湾の最高学術機関である中央研究院法律研究所の研究員を務め、2014年3月の「ひまわり学生運動」のリーダーたちと関係が深く、ブレーン的役割を果たした人物だ。それ以前からも、市民たちの政治的行動に携わってきた人物でもある。いま台湾政界で最も注目されている政治家が、今回の選挙や今後の台湾政治についてどう考えているのか。

 

――今回の総統選挙と立法院選挙について、どう評価していますか。

全体的に見ると、有権者は投票によっていくつかのメッセージを送ったと思う。まず、馬英九政権8年間の政治に対する不信任票だ。馬英九政権の動き、そして行政における権力濫用と失政に対してだ。さらに、経済面での親中路線と政治面での中国との統一推進という動きに対しても、台湾の有権者が投票によって強い不信感を示し、このような路線には反対だとはっきりと意思表明をしたのだと思う。

今回の選挙は民主政治の深化、政治への希望だ

民進党の蔡英文候補が総統に当選したことはとても重要だ。しかし、立法院選挙において国民党が多くの議席を失ったことは、国民党自身が立法院で行ってきたことと強い関連がある。行政部門での権力濫用や違法行為に対し、立法院が本来持つべきである牽制と監督という役割を果たさず、多くの重要な改革的な法案を過半数という力でボイコットした。国民がそんな国民党に教訓を与えたと分析できる。

われわれ時代力量のような新興政党にとっては、今回の選挙結果は事前に予測、あるいは希望していたレベルからすれば多少低かった。時代力量は5議席を得た。そのうち比例代表は2議席。世論調査の結果を見ながら出した予測では、比例代表の部分では4~5議席は取れると見ていたが及ばなかった。それは、選挙期間中の最後になって民進党がわれわれ新興政党の勢いの拡大を恐れて「緊急事態」を発表し、「政党票を民進党へ集中させてほしい」と有権者に訴えたことが理由だ。

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