台湾政界の風雲児「時代力量」トップを直撃 「民進党とはケースバイケースの関係に」

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国民党はこれまで、台湾国内では「一つの中国、各自解釈」をひとえに強調してきたが、国際社会や国際的な場面における「92年コンセンサス」が意味するものは、今も昔も「一つの中国」だけが存在し、「各自解釈」が見えてこない。2015年11月の馬英九・習近平首脳会談を見ても、このことがはっきりとわかる。

――次期総統の蔡英文氏の両岸政策について、「曖昧模糊」と強く批判してきました。「92年コンセンサス」に賛成はしないが、公には否定しない」態度を蔡氏がとり続けるという観測もあります。2月1日から始まる新国会の後、蔡氏には92年コンセンサスを否定せよと要求しますか。

蔡次期総統が「92年コンセンサス」についてどう考えているのか、われわれは推し量ることができない。時代力量は、国際社会における台湾の国家的地位の正常化を要求している。国家としての条件を台湾はすべて保有しているが、国際社会においては正常な国ではない。われわれは今、中国とは対等ではなく不公平な関係にある。国家的地位の正常化は、われわれが今後努力していく目標だ。

台湾は今後、ひまわり学生運動によって決定された「両岸協議監督システム」の制定や全市民の政治への直接参加を可能とする憲政改革運動など、社会の内外を問わず、改革を通じて国際社会でより多くの支持を受けられるようにしたい。

自由貿易よりも「公平な貿易」こそ大事

――「ひまわり学生運動」を契機に、自由貿易をどうすべきかという問題がつねに問われ続けています。現在の台湾の経済構造を考えると、自由貿易は必須であり、中国との関係も重要だという声も多い。

グローバル化を合い言葉に、自由貿易時代はすでに20年を超えた。このグローバル化がもたらした最大の教訓は、自由貿易によって国の貿易量は確実に増加し、GDP(国内総生産)も増えたが、同時に所得格差や失業者の増加、環境、生態系、労働者の権益などには否定的な影響を招くようになったことだ。

だからと言って、貿易は重要ではないということではない。台湾は依然として対外貿易によって生存できる。ただ、貿易においては、誤った目標を設定してはならない、ということだ。経済と貿易活動を含めた政府の制度、そして国民がより幸福になり、尊厳ある生活を過ごすせるようにするのが最終目標だ。これは、すべての制度における根幹だ。

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