マイクロソフトの共同創業者兼元会長兼顧問で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同創業者であるビル・ゲイツ氏が昨年、「今後数十年のうちに1000万人を超える人間を死に至らしめることがあるのなら、それは戦争ではなく感染率の高いウイルスによるものだろう」と発言し、グローバル・ヘルス・セキュリティの重要性を訴えたのは記憶に新しい。
2014年以降のエボラ出血熱の大流行に続いて、今、ジカウイルス感染症(ジカ熱)がアメリカ大陸を中心に、にわかに注目を集めている。
ジカ熱とはどのような病気なのか
ジカ熱は、ジカウイルスによって起こる、蚊を媒介して感染する感染症。感染しても症状がないか、症状が軽いため気付きにくいこともある病気だ。蚊に刺されてから2〜7日程度の潜伏期間のあと、デング熱とよく似た、軽度の発熱や発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などの症状が2〜7日間程度続き、症状は自然に治まる。
最近では、ブラジル保健省は妊娠中のジカ熱感染と胎児の小頭症に関連がみられるとの発表をしているものの、現時点でその感染メカニズムはまだ分かっていない。
また、今のところ、ジカ熱はウイルスに感染したヒトを蚊が吸血すると、蚊の体内でジカウイルスが増え、その蚊が別のヒトを吸血することでジカウイルスが伝播する感染メカニズムであり、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではない。
これまでにジカ熱は、アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域での発生が確認されており、特に近年は中南米で流行しているが、どの流行においても、ジカ熱による死亡者は出ていない 。
ではなぜ今、ジカ熱が注目を集めているのか。
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