注目の金融政策、日銀とFRBはどう動くのか

中央銀行ウォッチャーの加藤出氏に聞く

黒田東彦日銀総裁は動くのか(撮影:尾形文繁)
今週は26〜27日にFOMC(米国連邦公開市場委員会)、28〜29日に日本銀行の金融政策決定会合がある。日本銀行やFRBの金融政策の専門家である東短リサーチ社長・チーフエコノミストの加藤出氏に見通しを聞いた。

実体経済から見て追加緩和は見送りか

――今週29日に日本銀行の追加緩和があるのかないのか、市場は注目しています。

実体経済を見れば追加緩和が必要ということはない。昨年10月の『展望レポート』で示した標準シナリオから大きく状況が悪化しているわけではない。18日の日銀支店長会議での報告を見ても、国内生産は悪くない。世界経済の需要がここへ来て急に落ちているということもなく、自動車中心に北米向けの輸出が伸びているので、東海地区などは生産が緩やかに増加しているということだった。国内の生産は2015年の4~6月期、7~9月期は悪かったが、10~12月期、2016年の1~3月期は上向きと見られている。

世界経済を見渡しても、米国で弱めの経済指標はあるものの、暖冬の割には消費がしっかりしている。一部で報道されているような、米国がリセッションの淵にいる、ということはないだろう。中国経済にしても、年明け以降に新たな不安が浮上したわけではない。中国株式市場の混乱はサーキットブレーカーなどマネジメントの問題だ。人民元の切り下げも中国当局としては透明性を高めるために、バスケット制にするとしている。人民元を切り下げて輸出振興をしようという狙いではない。

ただ、日銀としては、年明け以降の株式や為替など金融市場の変動が、先行き実体経済にどういう影響をもたらすのかの見極めで、悩んでいるのではないか。原油価格の1バレル30ドル割れが続けばインフレ期待が削がれ、インフレ目標達成時期を遅らせるという意見もある。とくにこれから本格化する春闘の賃金交渉への影響なども気になるだろう。一方、経済界では経済同友会の小林(喜光)代表幹事も日本商工会議所の三村(明夫)会頭も追加緩和に否定的な意見を表明している。せめぎ合いだが、どちらかといえば、追加緩和はしないほうの結論になるとみている。

――政策手段がもう限られてきていますね。

問題は2つある。手段が限られているという問題と、手段がないから出し惜しみをしているとマーケットから失望されてしまうという問題だ。追加緩和があるとすれば、国債購入の増額で、現在の年間80兆円から、90兆円、100兆円にするということが考えられる。100兆円買うと市場から玉がなくなってしまう時期が早まるので、90兆円で抑えたいところだ。

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