大阪の三越伊勢丹は成功するか? 開業キーマン激白--日本初の“置き方”を提案する《NEWS@もっと!関西》

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--京都伊勢丹の07年度の売上高は699億円です。大阪三越伊勢丹の初年度の売上高目標550億円は低いのでは、との見方もありますが。

京都の場合、(京都駅から離れた)四条に店舗を構える百貨店との戦いでしたが、大阪は(駅前の)ターミナル間での戦いです。本店を構えておられる百貨店もありますから。京都のようになるとは決して考えられない。できないとは思っていませんが、簡単な数字ではない。

--やはり優秀な人材を投入しているのですか。

大阪店開業準備室はこの4月から40名体制です。20歳から30歳代後半で構成し、バイヤーを中心にエース級を投入していますよ。会社として新しいことに成功するためには、その道の優れた人がいないとなかなか難しいですからね。40名の内訳は、伊勢丹ホールディングスから15名、JRから12名、それと京都伊勢丹から13名です。京都伊勢丹からの人材は現地採用したプロパーの人間で、バイヤーが中心です。京都の開業で採用した人材が育ってきたので、彼らを今回の新店を立ち上げる店づくりのベースにして、同時に次の店舗を立ち上げの際に戦力となる人材を育てていければと考えています。

--大阪では「伊勢丹」の知名度が高いと言えませんが。

伊勢丹は「東京の地方百貨店」と思っています。大阪ではあくまでチャレンジャーです。私は三重県の出身で、入社した当初は親類縁者から「鈴丹のこと?それとも仁丹?」と揶揄された。それぐらい関西では知名度がなかったのですね。

では、大阪でどうやって知名度をあげていくかですが、JR西日本と提携していますので、その鉄道ネットワークなどをフルに使わせていただきたいと考えています。11年3月に九州新幹線鹿児島ルートが全線開通(山陽・九州新幹線が新大阪~鹿児島中央間を直通)するので、新幹線に広告を出せば鹿児島まで効果が行き渡ることになります。また、JR大阪駅の乗降者は一日約85万人。こういった方へアピールするなどJR西日本に最大限に甘えて、認知度を高めていきたいですね。

--大阪はキタだけではなく、ミナミや阿倍野で再開発が進み、それぞれの地区で大規模商業施設の構想があります。「大阪・流通戦争」の行方をどう見ていますか。

正直に言って、オーバーストアだと思いますよ。商業集積だけで30万平方メートル、いまの1.6倍ぐらい増えると思います。一方で、地域の人口は増えていません。ただ、商業集積に魅力を感じて、お客さまが集まってこられるかもしれません。そういう意味で、エリア対エリアの競争になりますね。キタでは北ヤードなどの大型開発が控えていますので、地域としての魅力が高まるのは事実でしょう。


(いとうたつや) 
1957年9月30日生まれ。1980年に伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス)入社。婦人服部商品部、吉祥寺店長、松戸店長などを経て、2007年に同社執行役員。昨年4月からJR西日本伊勢丹の大阪店開業準備室長、5月からJR西日本伊勢丹専務取締役。

■業績・事業概要など企業データの詳細はこちら

(梅咲 恵司= 東洋経済オンライン)

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