新幹線を超えろ!日独仏「高速鉄道の攻防」 ドイツ高速列車に2階建て100系の影響が

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時速300kmですれ違うTGVと、英仏海峡トンネルを通る国際高速列車ユーロスター

TGVはパリ~リヨン間の高速新線で1981年、最初に登場した車両であるTGV-PSEタイプが最高時速380kmの世界速度記録を樹立して日本の新幹線に一矢を報いた。ちなみに日本映画の「新幹線大爆破」はパリで大ヒットして、よりフランスの愛国心が盛り上がった。

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試運転中のフランスの高速列車TGV。最高時速260㎞で開業し、営業最高速度世界一の座を新幹線から奪った

TGVはその後も海外に売り込みのため、1990年にはTGV-A(大西洋線)の車両を高速走行用に特殊加工して時速515.3kmを記録している。さらに、2007年には開業前の高速新線、東ヨーロッパ線を使い、鉄車輪式の鉄道では世界最高速となる時速574.8kmの速度記録も達成した。

一方のドイツは、堅実にゆっくりと超高速列車の開発を進めてきた。現在運転されているICEの前身、ICE-Experimental(試作車)は、1985年にドイツ北方の在来線で当時のドイツの速度記録となる時速317kmを記録した。

たまたま筆者もTVクルーと同乗取材をしており、車内ではシャンパンがふるまわれた。このとき、西ドイツ国鉄(当時)の技術者たちは日本の新幹線を褒め称え「車内の国際電話から日本の国鉄に報告してくれ」と言ったほどだ。

ドイツに影響を与えた100系

ドイツは日本、フランスなどに遅れて1991年に南北を結ぶ専用の高速新線を開業し、量産車であるICE-1を投入した。

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1985年にデビューした新幹線100系。実はICE-1の随所にコンセプトが生かされていた

このICE-1には特別の思いがある。たまたまICE試作車の試験走行で乗り合わせたドイツの鉄道技術者が、新幹線の視察のため日本にやってきた。

JRの協力を得られないまま彼は1か月もの間、当時の最新型だった二階建て新幹線100系に乗って東京~新大阪を何度も往復した。彼は車内設備を担当していた。

ICEの開業初日、乗車して私は驚いた。ICE-1の随所に100系のコンセプトが生かされていたのだ。

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