事実!「声をかけやすい人」は仕事ができる ANAの気づかいは、こんなにも合理的

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しかし、お客様のニーズは十人十色なので、それを察するのは簡単ではありません。これまでは原則として、日本人などアジア圏の人は、「察してほしい」と思っている人が多く、反対に欧米の人は、こうしてほしいという希望があるときは自分で主張するので、「あまり話しかけないでほしい」と思っている人が多いという文化的な特徴が顕著でした。

お客様一人ひとりのニーズをくみ取る

たとえば、ファーストクラスでお客様が席を離れたときに毛布を畳むと日本人のお客様の多くは感謝してくれますが、欧米の人に同じことをすると、「勝手なことをしないでほしい」という反応をされることもありました。

ですから、昔はある程度、このような国民性に合わせて対応することも可能でした。ところが、近年、欧米人でも「察してほしい」と思っている人が増えていますし、逆に日本人でも「放っておいてほしい」と思っている人が増えています。つまり、いまではお客様一人ひとりのニーズをくみ取る必要があるのです。

CAの林は「自分が乗務した便では、担当する40~50人のすべての席のお客様の顔、様子を把握するように努力している」と言います。それだけ多くの人を把握するには、「お困りのことはないか」と常に意識しながらお客様を観察しておく必要があります。

たとえば、一見ゲームに没頭しているお客様でも、内心では「喉が渇いているので水がほしい」と思っているかもしれません。そんなお客様に対しても、「お困りのことはないか」という気持ちで目配りをしていると、CAが通りかかったときに、お客様がふと目線を上げて目が合うときがあります。

そうしたら、「お困りのことはありませんか」と声をかけることができます。「こちらが意識していれば、困っている人とは、自然と目が合うもの」とCAの林は言います。

こちらから声をかけなかったとしても、常にお客様に対してオープンな態度でいることも重要です。そうすれば、困っているお客様から声をかけてもらうことができます。

声をかけやすい人になるには、

①歩き方

②視線

の2つが重要です。

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